クリント・イーストウッド「15時17分、パリ行き」の雑然とした感想

Posted :06/03/2018 , Modified :

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なんとなく公開初日に観ないとしばらく観ることはないだろうな、と思ったのでクリント・イーストウッドの最新作「 15時17分、パリ行き 」を観てきました。

映画概要

この映画は米国内で発売された同タイトルの書籍を原作に、2015年8月21日、ベルリンからパリに向かう高速鉄道タリス内で発生したISによる無差別テロ事件、いわゆる「 タリス銃乱射事件 」を題材とし、事件解決に大きく貢献した5人の民間人、特にたまたまヨーロッパ観光中だった米軍兵士2人を含む3人のアメリカ国籍の若者の姿を描いています。実際に事件に巻き込まれた3人を本人役として起用し「 イーストウッドの新境地 」と話題になった作品でもあります。

映画史的、ハリウッド史的考察やそのほかの同監督作品との関わりなどを軸にしたハイクオリティなレヴューはイーストウッド・マニアやシネフィルのみなさまがたに任せておいて、ここでは雑然とした感想を書いていきたいと思います。

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雑然とした感想

宣伝文句にも使われているイーストウッドの新境地、というのは 実際にテロ事件に関わった当事者たちを役者に起用して当時の状況の完全再現を試みた撮影方法のみを指しており、映し出されるものは相変わらずのイーストウッド節であふれていた。ヨーロッパがメインの舞台にもかかわらず端々にアメリカがほとばしり、出てくる人が全員アメリカ人に見える不思議( まあホントに大体アメリカ人なんだけど )。
違うことといえば、これまでは"アメリカ人"に当然求められるべき父性を 社会や社会的立場のある人物を通して讃えたり非難したりしていたが、今回はそういうものから離れた"個人"を通して描いていたところかもしれない。「 ハドソン川の奇跡 」にも( 民間という意味で )それは当てはまるが、この映画は「 ハドソンー 」とは違い国外の話であるのもまた重要なポイントな気がする。

それを踏まえた上でわたしの考えるイーストウッドの理想的次回作はアメリカ人女性が英雄となる( 人命を救う )based on a true storyものだが、ホントはそんな映画が作られないことが一番いい。彼はなんと皮肉な作風を選んでしまったのか。

ほかにアメリカ人にとって自分のルーツを探しにいくのが海外旅行の目的として結構メジャーだと発見できたのがよかった。日本の若者が自分探しするのと似たような感じなんですかね。それにしても、ただただアメリカの若者がローマ、ベネツィア、アムステルダム、ベルリンといった有名観光地を特に大した事件も展開もなく普通に旅行するシーンが大半を占めていたのには驚いたし、超有名映画監督がいわゆる"アンチスペクタクル"な映像( 実際はそんなことまったくないのだが )で映画を構成する果敢なチャレンジには少なからず心を震わされた。同じくただの観光ムービーともとれるホセ・ルイス・ゲリン「 シルビアのいる街で 」やウディ・アレン「 ミッドナイト・イン・パリ 」あたりを思い出す人も多いのではないか。イーストウッドの映画にとって重要である( とぼくは思っている )セクシャルな( 決してエロティックではない )場面が少なかったのは役者が素人だったからかもしれない。

そんなわけで、アメリカ大好きっ子ちゃんはみんな観に行くべき映画だと思います。大嫌いっ子ちゃんもついでにどうぞ。

関連リンク

映画オフィシャルサイト

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