アリーチェ・ロルヴァケル「夏をゆく人々」レビュー 8歳のぽっちゃり女子マリネッラの存在感

投稿日:09/07/2016 更新日:

  

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アリーチェ・ロルヴァケル「夏をゆく人々」を観ました。カンヌ国際映画祭で審査員グランプリ賞を受賞した作品。

あらすじ

古代にエトルリア文明が栄えたイタリアのトスカーナの街はずれで養蜂場を営むドイツ人とイタリア人の夫妻の娘、ジェルソミーナが主人公。4人姉妹の長女かつ、家族で一番の働き者の彼女は口の悪い父親からは怒鳴られつつも彼女がいないと仕事が成り立たないので大事に扱われるし、母親から「我が家の家長はジェルソミーナ」と言われるほど信頼されている。そんな彼女が仕事を終えたあと、父と妹たちと水浴びをしに出向いたとある島で、彼女たちの住む地域の振興を狙った素人参加型番組「Le Meraviglie(イタリア語で不思議という意味、この映画の原題でもある)」のロケ隊と遭遇したことをきっかけに、静かな日常が少しずつ変わり始めていく。

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一番印象に残っているのは、ロケ隊に遭遇後、養蜂場で要保護観察の前科持ちドイツ人不良少年を雇うことになり、彼を雇う代わりに得た報酬で父親がジェルソミーナのこれまでの貢献を讃えるために彼女が欲しがっていたラクダ(飼うのは違法)を買ってきて、ジェルソミーナだけでなく家族全員から喜ばれるどころか顰蹙を買う場面があり、そのエピソードが展開されて以降ずっと農場にラクダがいたこと。ストーリー上は当たり前のことだが、やはり農場にラクダはあまりに場違いで、ラクダが映り込むたびに笑いを堪えずにはいられなかった。物語の進行にあたって明らかに邪魔なこのラクダをあえて取り払わないのはイタリアが育んだネオレアリズモ映画の文脈によるものでしょうかね、とかなんとか。もし北野武ならちゃんと売りはらうか困窮に瀕した挙句食べるかしてオチをつけ、以後出さないようにするだろうし、ブニュエルならまるでラクダを買ったエピソードなんてなかったかのごとく映画内での説明なしに出さなくなるに違いないですね。

あとはなによりジェルソミーナの妹(次女)、8歳のぽっちゃり女子マリネッラの存在が素晴らしい。彼女の醸す無意識によるコケットリーと不幸体質(別に悪いことしてないのに彼女の行為の結果として自分の身が傷ついたり精神的なダメージを受けるようなことがよく起こる)、そんな大人なパーソナリティを持ってるのに抜け切れない子供っぽさなどがすごくよかった。彼女のビジュアルがギュスタヴ・ドレの描いた赤ずきんに似てるからそう思ったのかもしれません。

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