小津安二郎「非常線の女」レビュー いわゆる"小津調"の映画ではない

投稿日:01/06/2016 更新日:

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小津安二郎のサイレント作品「非常線の女」を観ました。

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元ボクサーで今は暗黒街に生きる男・襄二と、昼は真面目なタイピスト、夜は襄二の愛人として生きる女性・時子を中心に展開されるオーセンティックなメロドラマとでもいうべきこの作品は、日本家屋で正座する父と娘、あるいは中流階級の女性たちが同じ内容のセリフを言い方を微妙に変えつつ何度も繰り返している場面を低い視点のカメラで捉えたような、いわゆる"小津調"の映画ではない。それでも魅力を感じる部分はたくさんあった。今で言うなら清楚な二階堂ふみ、という感じの水久保澄子さんのたたずまい(単純に顔が似ている)や、濃い顔美人な彼女が奥ゆかしい女性像・和子を演じ、比較的日本風な顔立ちの田中絹代がギャングの情婦を演じる、というアンバランスさ、そしてたびたび抜かれたりナメで画面に登場したりするビクター犬ニッパー、などなど。ボクシングジムのシーンで出てくる体重計のメーター部がやたらと印象的なショットでは、市川崑監督「鍵」の診療所の血圧計がアップで写される場面を思い出しました。

この映画はたしか蓮實重彦氏が「監督 小津安二郎」で言及して以来再評価が高まった、と聞いたことがあるけど実際はどうだったのでしょう。それはともかく、はすみんがたびたび生涯ベスト映画のリストに挙げているのもよくわかるほど素晴らしい作品で、日本版ギャング映画の最高峰、と言い切ってしまいたくなるほどがっちりと心掴まれてしまった。いえ、ギャング映画なんてほかにほとんど見たことないのですけどね。

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