「たんぽぽ」(伊丹十三)レビュー ものすごくブニュエルっぽくてびっくりした

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伊丹十三の「 たんぽぽ 」をみました。

この映画を観たのは小学生の頃、金曜ロードショーで放映されていたのを観て以来だったけど、こんなものを地上波でやっていたのかと思うと、90年代が狂っていたのか今が狂ってるのかよくわからない気持ちになります。役所広司さんが出てくるシーンなんて全部エロいからだいぶカットしたのかな。

内容に関しては、今となって見てみたら、ものすごくブニュエルっぽくてびっくりした。電車のなかで歯痛の男が中華を食べるシーンなど。あと山崎努さんはマストロヤンニ、役所広司さんはジャン・ポール・ベルモンド、宮本信子さんはアンナ・カリーナだなあ、とか思いました。主にビジュアルが。この映画に出てくる食べ物が全部"モノ"感が満載で好きです。ヤン・シュヴァンクマイエルの「 オテサーネク 」とかに出てきたやつみたい。ラーメンも牡蠣もチャーハンもオムライスもすべて全然美味しそうじゃない。俳優陣の食べ方、飲み方はみんな美味しそうですけどね。

もっと深読みするなら、単純に伊丹十三さんの映画の作り方の理想像を突きつけただけの映画だとも思った。ラーメン作りは映画作りのメタファー。世に埋もれた有識者のアドバイスや職人との衝突、女優との疑似恋愛を経て映画を作り上げると、監督はなにも言わずに去っていく、そして人生は続く、みたいな。

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