ヤン・シュヴァンクマイエル、全体主義政権下のチェコスロヴァキアにおける創作活動を振り返る

投稿日:06/06/2016 更新日:

  

- sponsored link -

自身最後の長編、と銘打った2018年公開予定の映画「蟲」のクラウドファンディングを実施しているチェコの現役シュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエルが、先日開設された彼の公式Youtubeチャンネルにて、文化統制を受けながらも作品を生み出し続けていた全体主義政権下のチェコスロヴァキアにおける創作活動を振り返る動画がアップされていました。

Jan Švankmajer - YouTube

以下にその動画に付されている字幕を書き起こし、日本語に訳しました。過去の話だけではなく、現在もまた苦しめられている別の"体制"にまで言及するなど、非常にエキサイティングな内容となっておりますので是非ご覧ください。

-sponsored link-

On creative production in totalitarian Czechoslovakia

People from the West often ask me how we could have created such personal and free films in totalitarian Czechoslovakia.They are asking these questions because they perceive authoritarian regimes through the eyes of George Orwell; particulary in the sense of his novel "1984".However, it is important to realize that the repression in totalitarian regimes or the repression in the totalitarian Czechoslovakia was not as flawless as in Orwells novel.It was a system prone to errors -- not only in the economy but also in repression.The repression developed in certain waves -- release,squeeze,release, and squeeze.

I was fortunate enough to catch two of these release waves.One of them was during the sixties heading into the Prague Spring, and the second was from the mid-eighties, when Perestroika began in the Soviet Union.Unfortunately,I was also caught in one wave of tightening and this is the gap in my filmography from 1973 to 1980.Naturally,after the Velvet Revolution, after 1989,ridiculous ideological censorship disappeared.

However, it was replaced.It was replaced with the rule of the market.Finding money for my films is very difficult and I am afraid that it is becoming more and more difficult over time.

This civilization, this pragmatic utilitarian and economic civilization does not need authentic art.It needs commercial entertainment to occupy people in their free time before they herded back to the production process.

全体主義政権下のチェコスロヴァキアにおける創作活動を振り返る

西側諸国で生きる人々はよくわたしに全体主義のチェコスロヴァキアでどうやって個人的で自由な映画を作ることができたのか尋ねます。彼らは、ジョージ・オーウェルの(特に彼の小説「1984」における)視点で権威主義を捉えているため、そんな質問をしてくるのです。しかしながら、全体主義体制、あるいは当時のチェコスロヴァキアにおける文化統制は、ジョージ・オーウェルの小説で描かれているように完璧ではなかったことは理解しておく必要があります。全体主義は破綻を来しやすいシステムだったのです−−経済だけではなく、文化統制においてもそうでした。統制にはある一定の波がありました。多くが統制を逃れるときもあれば、その逆で多くが検閲にかかる時期もあり、それが交互に繰り返される。解放と引き締めの波です。

わたしは幸運にも2度、解放の波に乗ることができました。一度目は"プラハの春"が始まろうとする60年代、二度目は80年代の半ば、ソヴィエト連邦でペレストロイカが始まったときです。しかし逆に、一度は引き締めの波に乗ってしまったこともあります。わたしのフィルモグラフィーに、1973年から1980年の間に空白があるのはそのためです。当然、1989年のヴェルヴェット革命のあとにこのばかげた思想統制はなくなりました。

しかしそれは別のものに取って代わられた。市場原理がそれです。わたしの作品にお金を生み出すことを求めるのは非常に困難であり、そして年を経るにつれてどんどん難しくなってきているように感じます。

実用的功利主義者による経済至上主義的なこの社会では、真の芸術は必要とされていません。必要なのは、生産作業に追われる家畜のような人々が、その合間のわずかな余暇を埋めるための商業的エンターテインメント作品なのです。

おまけ

冒頭でも触れましたが、ヤン・シュヴァンクマイエルは現在チャペック兄弟の戯曲「虫の生活」を上演する劇団をえがいた新作映画「蟲」を撮影中で、2018年公開をめざしてクラウドファンディングを実施しています。ファンの方はぜひ応援してみてはいかがでしょう。

Jan Švankmajer: Insects

シュヴァンクマイエルのそのほかの解説動画に関しては以下をチェックしてみてください。
シュヴァンクマイエル本人によるインタビュー&作品解説動画まとめ

関連リンク

シュヴァンクマイエルの世界
ヤン シュヴァンクマイエル
国書刊行会
売り上げランキング: 257,522
不思議の国のアリス
不思議の国のアリス

posted with amazlet at 16.04.29
ヤン・シュヴァンクマイエル画 ルイス・キャロル著
国書刊行会
売り上げランキング: 370,060
シュヴァンクマイエルの博物館―触覚芸術・オブジェ・コラージュ集
ヤン シュヴァンクマイエル
国書刊行会
売り上げランキング: 455,280
サヴァイヴィングライフ -夢は第二の人生- [Blu-ray]
日本コロムビア (2012-05-30)
売り上げランキング: 31,809
アリス 【HDニューマスター/チェコ語完全版】 [Blu-ray]
日本コロムビア (2011-08-24)
売り上げランキング: 20,504
ヤン・シュヴァンクマイエル「ルナシー」 [DVD]
日本コロムビア (2007-08-22)
売り上げランキング: 23,053
ヤン・シュヴァンクマイエル 短篇集 [DVD]
日本コロムビア (2005-02-23)
売り上げランキング: 51,488

-, , , , , , ,

- sponsored link -

フォロー

関連記事

Copyright© simonsaxon.com , 2017 All Rights Reserved Powered by STINGER.