MANON & YUPPA「 TEENAGE DIARY 」リリース スペシャルインタビュー&アルバム全曲解説

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MANONちゃんのことが大好きだから(笑)

——MANONさんがそういった活動をしているなかで、YUPPAさんが彼女のプロデュースを手がけることになったきっかけはどういったものだったんですか?

Y:直接のきっかけでいうとそういうオファーをいただいたから、ということなんですけど、じつは話をいただく前からMANONちゃんのインスタをチェックしていて。近い友人には「この子のプロデュースやりたい!」って話をしていて、「事務所もしっかりついてるし無理かも?」なんて言われてたんです。だから、そんな事情を知らないアソビシステムさんからお話をいただいた時は本当にビックリして。

——それは運命感がハンパないですね!

Y:ホント、奇跡みたいですよね!はじめてみてさらにビックリしたんですけど、MANONちゃんはお母さまが子供服とか輸入雑貨のお店をやられていて、彼女はそのお店のホームページでずっとモデルをやってたんですね。

M:あ、たしかに2,3歳くらいのときからやってました。

Y:その小さいころのMANONちゃんを、わたしは当時お店のブログの写真でみてたっていうことが判明して。

M:え!そうなんですね!知らなかった。

Y:MANONちゃんのインスタのポストに出てくるお店の内装を見て「なんかこの壁見おぼえある…」と思ってたら、そういうことだったんですよ。だからプロデュースをはじめる最初のほうからちょっと彼女に対して思い入れが強くなっちゃって。「こんな偶然ない!」って。

——YUPPAさんはご自身も元々ミュージシャンとして活動されていたなかで、自分でやるよりもほかの誰かをプロデュースしてみたいとなったのにはどういった経緯があるのでしょうか?

Y:誰かを「プロデュースしてみたい!」と強く思うことってそれまでなかったんです。普段は子供番組とかCMの音楽を作る仕事が多いんですが、それも好きなことだし、やりたいと思って目指していた仕事だし。もし仮にプロデューサーとして仕事のオファーをいただけるとしても、自分のやりたいことをやれないなら、普段の仕事やソロワークと比べて魅力的じゃないかもって思っていて。

——じゃあ、MANONさんじゃなかったらプロデュース自体してなかった?

Y:うーん…受けたかもしれないですけど、もう少し、一歩引いたビジネスライクなプロデュースになっていたと思います。そのほうがなにかとスムーズに事は進んだとは思うんですけどね(笑)

——実際にプロデュースをやりはじめて、難しかったことってありますか?

Y:MANONちゃんをひとつの決まったイメージに押し込めてしまいたくなくて。クオリティをコントロールするっていう意味では絶対に決まった型があったほうが楽だし、やりやすいんですけど、MANONちゃんにそれを当てはめてしまうのはもったいないなと思って。だからオートクチュール的にというか、そのときどきの彼女の姿にあわせてプロデュースしていこうと。彼女に「最近何が楽しい?」とか「何が好き?」とかそういうのをきいて、できる限り曲やビジュアルに取り入れていったんですけど、彼女の変化が想定よりもずっと大きくて、ついていくのがすごく大変だったんですよ。14才から16才ってちょうど中学生から高校生になって環境が大きく変わる時期というのもあって、女の子がどんどん成長していく時期なんですよね。興味のある対象が大きく変わったり、友だちが変わったり、遊びかたも変わったり、ヒアリングに対する答えもちょっと大人っぽくなったり。とにかくもうどんどん変わってく。「これは大変なことをやりはじめてしまったぞ…」って思いました(笑)

——プロデュースにおけるキーワードとして"トレンド"っていうのもあると思うのですが、そこに合わせる大変さもあったのでしょうか?

Y:そうですねー、まず、わたしが作る音楽の個性はキープしたまま、ティーンが聴いてくれる音楽、ティーンに響けるリリックを作りたいというのがあったかな。そして何より、MANONちゃん自身が楽しく歌えるようなものにしたかった。そこに焦点を合わせた上で、それに合う新しい音楽やカルチャーをリサーチして、自分自身にできることとの間でベストなバランスにチューンアップしていく作業っていうのが難しかったですね。常にやりながら模索していく感じでした。

——それにしては楽曲に遊び心が溢れていて、そんな苦労や困難さを感じさせないものになっていると思います。

Y:むかしって、モデルさんとかタレントさんとかがさらっといい音楽を歌ってたイメージがあって、あの感じの現代版ができたらっていうのはちょっと思っていて。作ってる人も、歌ってる人も、聴く人もみんな楽しんでやってる、みたいな。かっちりした量産型のプロデュースならもっと上手な人がほかにいるはずだから、わたしがやるんだったら、まぁちょっとクサいですけど、愛のあるプロデュースができたらなっていう理想を持ってやっています。

——デビュー曲をレコードで出したっていうのもそういった遊び心のひとつなのでしょうか?

Y:CDを出す前に、絶対にレコードかカセットを出したくて。音楽にモノとして触れられて、そのモノから音が出るっていう体験が入ると、スペシャル感が増すと思うんです。音楽にはそういう聴きかたがあるって、MANONちゃんと同世代のリスナーたちに知ってもらえるきっかけを作りたかったんですよね。あとMANONちゃんのデビュー曲というかファーストリリースを特別なものにしたくて。MANONちゃんのことが大好きだから(笑)

M:ふふふ(笑)

Y:で、どうしたら特別なものにできるだろうと考えたときに、映画「ロリータ」の曲をサンプリングした「xxFANCYPOOLxx」がA面、「ROOKIE YEARBOOK」インスパイアで90年代インディー・ロック風の「BEAT THE BAD LACK」がB面でレコード出したらたまらないだろー!って思ったんです。たまらないのはわたしが、ってことですけど(笑)。たとえば5年後10年後、彼女がモデルとしてバリバリやっていくにしても、音楽の道を突き進んでいくにしても、大学生になって勉強が楽しくなって留学します!ってなっても、最初のリリースが誇れるものであるように、ってのはすごく考えました。

日記帳に書きなぐるような、女の子のつぶやきのようなものを曲にしていく「ダイアリー・ラップ」

YUPPA©︎Rie Fukuda

——今回リリースされたアルバム「TEENAGE DIARY」について訊かせてください。タイトルの由来や、アルバム全体を通した具体的なコンセプトはありますか?

Y:最初はデビュー曲でもつかった「FANCY(ファンシー)」っていうイメージを軸に、アルバムタイトルも「xxFANCYPOOLxx」にしようかなー、とか思ってたんですけど、さっき言ったように彼女がどんどん成長していくなかで、その時々の彼女のリアルに合わせていくほうがおもしろいんじゃないか、と思うようになったんですよね。わたしはいまの彼女のスタイルを「ダイアリー・ラップ」って呼んでるんですけど。日記帳に書きなぐるような、女の子のつぶやきのようなものを曲にしていく、っていうアイディアで、「これはコンセプトとしていいかも」と思ったんです。そして「タイトルも『TEENAGE DIARY』にしたら、ファンシーな部分もリアルな部分も含めて全部つじつま合うじゃん!」って。

——MANONちゃんのプロジェクトのスタートにおけるキーワードとして「FANCY」っていうのが結構重要だとは思うのですが、YUPPAさんのなかで考えるFANCYっていうのはどういう感じなのですか?

Y:FANCYは出会ったころのMANONちゃんのイメージです。シンプルに「かわいい」っていうとちょっと甘すぎる感じだし、ファンタジーっていうほど幻想的な存在でもないし。「かわいい」よりませてるところもあって、スタイリッシュな雰囲気もあって、さらに毒っ気もある感じもするし…。そうやっていろいろと考えたときに、FANCYっていうことばが一番しっくりきたんですね。カタカナのファンシーよりも英語の"FANCY"のイメージ。だから最初は意識的に「FANCY」ってことばを使っていました。

——MANONさんはそのFANCYってことばをどう受け取りました?

M:一時期ですけど、わたしは学校でのあだ名が"ファンシー"になりました(笑)。他校の友だちの文化祭とかにいったら知らない子から「わたしも世界中のファンシーを集めてます!」みたいに言われたこともあって(笑)

Y:その話好きすぎる(笑)

M:(笑)。でも、いいですよね、FANCYって。キュートとかポップとかそういうことばよりちょっとトゲがある感じがしてかわいいです。気に入っています。

——今回のジャケットはこれまでのリリースのものと雰囲気が全然違うというか、すごくキラキラしてますよね?これはYUPPAさんのアイディアでこうなったんですか?

Y:上で言ったようなアルバムのコンセプトを踏まえて、カメラマンの佐野方美さんとスタイリストのribbonちゃんにビジュアルの相談をしました。そして二人に提案してもらったのが、ジャケットでも使っている個性的なドレスとスニーカーのスタイリング、クールな色の背景、キラキラが際立って彼女もクールに映える照明だったんです。わたしのなかでティーンネージャーってキラキラしてるもの。「キラキラしたドレス=ティーンエイジを、軽やかにスニーカーで着こなす=ステップしていく」というイメージがすぐに結びついたし、ひたすらかわいい世界感から一歩踏み出したかったので、ぴったり!最高!って。

——今回は少しテイストが違いますが、テクスチャー感のあるバックグラウンドにスクエアの写真を重ねるっていうアートワークはYUPPAさんの好きなアイディアなのかな、と思ったのですが。

Y: 定番デザインではありますけどね。わたし、インスタグラムで好きなものをアーカイヴしてまとめておいて、後からそれをザーッと見てデザインやビジュアルを考えるのが好きなんです。最近こういうのよく見るな、かわいいな、取り入れてみよう、とか。それもそういうアイディアの一つだったかな。

M:わたしもアーカイヴよく使ってますよ。

Y:見返すと「あ、わたしいまこういうものが好きなんだ」っていうことに改めて気づくことがあったりしておもしろいよね。

——MANONさんはこのアートワークにどんな印象を持っていますか?

M:これまでの雰囲気とはガラッと変わったんで、いい意味で裏切られた感じがすごくあります。衣装をはじめて見たときは「え!?これを着るの!?」ってすごくびっくりしちゃったんですけど(笑)でもチームのかたがたが"間違いない"ひとたちだったので、絶対いい感じになるとは思ってました。

——MANONさんの楽曲たちのなかで最もすばらしいところのひとつがYUPPAさんの書くリリックだと思っているのですが、たとえばアルバム収録曲の「COCO BOI ROMANCE」を見ると歌詞に「デヴィッド・リンチ」や「マクラクラン」などの名前が出てきます。こういう固有名詞って、MANONさんの世代にはちょっとわかりづらいものだと思うのですが、これはあえて使っているのでしょうか?

Y:そうですね。わたしが高校生のときにカヒミ・カリイさんの曲を聴いて「デヴィッド・ハミルトン?」って気になって、後から調べて知ってバイト代貯めて古本屋で写真集買って、みたいなことがすごく楽しかったんです。この曲も、いまのティーンの子たちが出てくる固有名詞を知っている想定では書いてなくて。「なにこれ人の名前?」「なんかひびきうけるw」くらいに思ってくれればうれしい。いまだとネットですぐ検索できるので、気になった何人かがツイン・ピークスの画像にたどり着いて「へー、面白そうかも」なんて思ってくれたら楽しい。いますぐじゃなくても、これを聴いた5年後、10年後に「そういえばあの曲の歌詞に出てくるアレってなんだったんだろう?」って思い出してふと調べてくれたりしたら最高だなーと思っています。

Ryan HemsworthとKero Kero Bonitoとのコラボ

——アルバムにはRyan HemsworthとKero Kero Bonitoがフィーチャーされていますが、彼らとコラボするようになったきっかけは何だったのでしょうか?

Y:まず、Ryanとは去年秋の来日の時に彼のDJを観に行って、少し話す機会があって。そのとき、彼はMANONちゃんの曲を聴いて知っててくれてたんです。で、「なんか一緒にやろうよ!」って言ってくれて、わたしはもともとRyan大好きなので「うそー!やるやるー!」って。「何やる?」「今MANONのアルバム作ってるんだけど、そこで一曲一緒に作らない?」「いいよー!」って感じで。すごくスムーズに決まりました。
Kero Kero Bonitoとの出会いは7年くらい前です。以前LOVE AND HATESというガールズ・ラップ・ユニットをやっていて、そのユニットのアルバムリリースのタイミングでリミックス・コンテストを開催したんですけど、そのとき優勝したのがKero Kero Bonitoだったんです。その後、彼らの初来日では対バン相手に指名してくれて。そこからの付き合いで、プライベートでロンドンに遊びに行くたび忙しいなかで時間を作ってくれて、すごく丁寧にロンドンを案内してくれたんです。ずっと一緒に何かしたいと思っていたので、MANONのアルバムを作ってるんだけど一曲一緒に作れないかな?とお願いしてみたら、いいよ!って。音楽はもちろん、人としても大好きなKKBなので、すごく嬉しかったです。

——MANONさんは元々Kero Kero Bonitoのファンだったんですよね?

M:そうです!だからコラボできてホントにうれしかったです。中学のときにアディダスとStellaSportのSpotをインスタでみて、映像よりも音楽がすごく入ってきて。「やばー!なにこのひとたち!」ってすごく衝撃を受けて、こういう人たちがいるんだー、世界は広いなーって思いました。

——MANONさんの楽曲とKero Kero Bonitoの楽曲には、おたがいがおたがいの存在をサジェストしあうような共通点を感じるのですが。

Y:Gusくんも「ぼくたちスタンスが似てるよね」と言ってくれたことがあります。ビートが効いたポップソング、自由なスタイルのラップ、というコンセプトはどちらもいっしょなんですよね。最近のKKBはまた一味違うかっこよさでわくわくしますよ。話していると好きな音楽も似ているし、日本のポップスが大好きなGusくんと海外のビート・ミュージックが大好きなわたしというところで、自然と同じ方向を向いてるのかなと思ったりもしますね。

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