アッバス・キアロスタミ「ライク・サムワン・イン・ラブ」レビュー

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アッバス・キアロスタミの「 ライク・サムワン・イン・ラブ 」がとても素晴らしかった。

あらすじは以下のとおり。

84 歳、 か り そ め の 恋 を 夢 み た。
84歳、元大学教授のタカシ( 奥野匡 )は、亡き妻に似た若い女性・明子( 高梨臨 )を、デートクラブを通して家に招いた。整えられたダイニングテーブルには、タカシによってワインと桜海老のスープが準備されるが、まどろむ明子は手をつけようとしない。明子はむしろ、彼女に会うために上京してきた祖母に会えず、駅に置き去りにしてきたことが気にかかっていた。翌朝、明子が通う大学まで車で送ったタカシの前に、彼女の婚約者と名乗るノリアキ( 加瀬亮 )という青年が現れる。最初はタカシを明子の祖父だと勘違いしていたノリアキだったが、やがて2人の関係を怪しみはじめると、遂には狂気的な行動で明子とタカシを追い詰める。運命の歯車が、廻りだした――。

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ジャズ・スタンダードの「 Like someone in love 」の名前を借り( 劇中もエラ・フィッツジェラルドが歌うタイトル曲が流れる )、東京( と横浜 )を舞台に撮られた映画ですが、同監督の前作「 トスカーナの贋作 」との類似点がたくさんあった。例えば大きいところで言うと、実際の社会的立場とは違う誰かを演じることでストーリーが進んでいくということだったり、主人公の職業だったり。あとタルコフスキーの「 惑星ソラリス 」における首都高の場面を彷彿させるシーンが印象に残っています。淡々と紡がれるストーリーに、突然混沌が訪れる展開にぞくぞくさせられました。あと加瀬亮の凄まじい演技力や、インテリジェンスとリディキュラー、もとい理想と現実の対比などにも。そしてなんといっても主人公の隣に住む怪女が、小窓から階段に座り込むアキコを覗き込み話しかけるシーンは本当に最高でした。

しかし美しい風景を描き出すことでお馴染みのキアロスタミ監督なのに、この「 ライク・サムワン・イン・ラブ 」ではそういうシーンがほとんど見られなかった。それは単純に東京の街並みに魅力を感じなかったのではないか、というふうに邪推してしまうけれども、その代わり室内シーンの美術はとても美しかった。しかし冷静にストーリーを俯瞰してみるとめちゃくちゃ変な話だったな、「 ライク・サムワン・イン・ラブ 」。終始爆笑しながら見てた人いたけど、観終えて少し時間が経った今ならその気持ちもわかる気がする。

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