「まるで砂漠のシモンみたいなヤツだな」

あこがれの人にちょっとした失礼をはたらいてしまい、しょぼぼぼーんとした気分で一日を過ごした。

失礼をはたらいたことがわかった直後には「お前はなんて最低な人間…人を不快にさせないためのルールも知らない社会不適合者…そんなお前には何も成し遂げることができない… 」なんて、あとから考えると自分でも過剰だとわかるほど落ち込み、なにもできなくなってしまったが、ふと、これって先日観たブニュエル「砂漠のシモン」の主人公、メキシコの砂漠で高い塔の上に立ち水とレタスしか食べないで何年も神に祈りを捧げ続ける苦行の最中、悪魔の誘惑になびきそうになった（なびいてはいない）ことに過剰反応してさらに片足で祈りを捧げ続ける業を自らに課した聖人シモンみたいだな…と気づき、そのおかげでずいぶん立ち直ることができた。わたしから生み出される感情や状況はすべて誰かの映画のなかですでに語られているものばかりだ。

「砂漠ー」の最後にシモンは悪魔の誘惑に負けて塔から降り、ニューヨークのクラブでライダースを着て酒をのみロックンロールに合わせてダンスするようになるのだけれど、わたしの場合ははたしてどうだろうか。

上の写真はそんな「砂漠のシモン」がかかったブニュエル特集上映のパンフレット。新書サイズのペーパーバック風というか、パルプフィクションのような安っぽいデザインがメキシコ時代のブニュエル映画のイメージをあまりに的確に表現していて震えた。以前はÁngelのAにアクセントないとかディスってすいませんでした。わたしはなんて最低な人間…人を不快にさせないためのルールも知らない社会不適合者…そんなわたしには何も成し遂げることができない…