「ラ・ラ・ランド」の雑然とした感想

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これはヒップホップの誕生以降に生まれた世代がついに音楽劇にもその手法を取り入れて作ったサンプリング・ミュージカルであり、音楽のジャンルとしてではなく作品の作り方にそれを持ち込んだのはミュージカル界において結構革命的なことなんじゃないか、と思う。この映画がアカデミーの監督賞をとったのはそのあたりが理由かもしれません。サンプリング・ムーヴィーにおけるパイオニア、というポジショニングを存分に活かして、巴里のアメリカ人、シェルブールの雨傘、ロシュフォールの恋人たち、ウェストサイドストーリー、バンド・ワゴン、踊らん哉、雨に唄えば、美女と野獣などの大ネタも使いまくり。

そして画作りだけでなく、オリジナルの楽曲にも上に挙げたような作品の曲のフレーズが散見された気がする(ラプソディ・イン・ブルーとかロシュフォールのミファソラミレのところとか)。ニューシネマパラダイスやチェット・ベイカーのLet's Get Lostなんかもあった。「Someone in the crowd」のフックはマイナスターズの「待ちわびて」のフックに似てますよね。

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あるいはyoutubeでミュージックビデオを観るのが日常な人に向けたミュージカルとも言えるかもしれない。ハリウッドのスタッフが撮る本気のMV。役者のクロースアップだけでなく背景美術も顔だらけで チャゼル監督の持つ人の顔に対する執着は何なのだろう、と思っていたが、つまるところミュージックビデオの演出を踏襲してるのだと思う。彼のほかの作品ではどうなのだろう。

劇中「ジャズは死んだ」「若者はジャズが嫌い」「かたちを変えて聴かせなければジャズに未来はない」などそのジャンルに対してやたらと絶望的なセリフをキャストに(ジョン・レジェンドにまで!)たくさん言わせてるにもかかわらず、全編を通してジャズだけがかっこよく聴こえるような演出ばかりしてるのとか ひねくれててすごくいいですよね。監督本人は役者に言わせたようなことを微塵も思ってないことがよくわかる。

そんな感じで総じて楽しく観たんですけど、テーマソング「Another Day Of Sun」単独での素晴らしさを映画全体が越えていたかと問われるといまはまだ肯定することができない。アカデミーの作品賞取れなかったのはその辺が理由かもしれません。でも曲はホントに最高。曲が良すぎるから映画自体を褒めすぎてる人がたくさんいると思う。観る前から聴いていたがまたしばらくエンドレスリピートするだろう。オープニングver.とインストver.のダブルサイダー7インチがほしい。

あと公開時ネット界隈で話題になった菊地成孔氏のラ・ラ・ランド評に関して、これは酷評なんてものじゃなくて、所謂"映画ファン"、シネフィルの類、ビッグ・バジェットな大作と同時に自主制作くらいの予算で撮られた佳作も愛している(でも後者のほうがちょっとだけ好きな)人たちの考える正論だと思う。これが酷評にきこえるのは、菊地成孔氏の芸風、もといズージャー的な文体のせいですね。

今年のゴールデングローブ賞のオープニングは、ジミー・ファロンが「ラ・ラ・ランド」のパロディをやっていた。彼がゴスリングの真似して前髪垂らしてたのに笑った。

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