辻林美穂「Clarté」リリース記念インタビュー②〜tsvaciのこれまでとこれから〜

Posted :20/04/2016 , Modified :

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辻林美穂さんアーティスト写真

2016年4月20日、待望のデビュー・アルバム「 Clarté 」をリリースした辻林美穂。2014年、坂本龍一氏の「 RADIO SAKAMOTO 」にて「 あぶく 」が、tofubeatsのプログラム「 OMG BEST ALBUM EVER 」で「 You Know… 」がそれぞれO.A.されたことをきっかけに一部メディアや耳の早い音楽ファンの間で話題となり、以降声優・歌手の悠木碧さんのアルバム「 イシュメル 」への楽曲提供、ネットレーベルAno( t )raksのコンピレーション・シリーズ「 Light Wave 」への参加、Tomgggの楽曲「 Butter Sugar Cream 」へのボーカル参加をはじめとした他ミュージシャンとのコラボレーションなどを経て、着実にその知名度や活動の幅を広げている。現在盛り上がりをみせるシティ・ポップのリヴァイヴァル的な動きのなかに突如現われた新星としての脚光を浴びながら、緻密に構成された自作の打ち込みサウンドではソングライティングの才能を発揮、かと思えばそのキュートな歌声で多くの人を魅了するなど、じつにさまざまな顔を持つ彼女が、現在の彼女になるまでにどのような道をたどってきたのか、そしてこれからどこへ向かっていくのか。彼女の音楽的キャリアを紐解きつつ、今回のデビュー・アルバムリリースにいたるまでの道筋を語ってもらった。( ご本人によるアルバム収録曲の解説もあります )

インタビューその①はこちら
本人によるアルバム全曲解説はこちら

辻林美穂インタビューその②

求められているなら いまはとにかくその道を突っ走ろう

Q:本題に戻りましょう。音大に入ってご自身の新たな可能性に拡がりが見えはじめたところで、自分の作品をsoundcloudで発表するようになった経緯を教えてください。

T:soundcloudをつかいはじめたのは大学3年生のときですね。ちょうど周りも含めて将来の進路とかで悩み出す時期で、当時わたしは音楽系の就職がしたいと思っていたんです。でも、そうなるとゲーム音楽とかエンジニアとかくらいしか職種としての選択肢がなくて。技術系、あるいは自分の個性を完全に消した音楽を作る仕事しかなかった。そう考えたときに、わたしは個性をモロ出ししたい!「 私を見て! 」くらいの気持ちでいたので、その選択肢は選べなかった( 笑 )でも、そうなったら個性を出した作品を知ってもらわなきゃ話にならないじゃないですか。だから自分の経歴に箔をつけるため、じゃないですけど、とりあえず大学にいるうちになにか賞をとりたい、コンペに受かりたいっていう気持ちがすごく強くなりました。でも、そのためにわたしの曲を聴いてくれる環境が何もなかった。そこで作品を自ら発信する、聴いてもらおうとする気概が全然足りてないな、ということに気がついて。だから思い立ってsoundcloudをはじめたんです。そうしたら、思いのほか反応が大きくてびっくりした。そして改めて「 自分が音楽をやってると言っても、口で言ってるだけじゃダメなんだ 」って強く思うようになり、soundcloudにどんどん自作の曲を上げていくようになったんです。
初めてsoundcloudにアップした曲が「 You know… 」だったんですけど、当時はまだ将来的に作曲家になりたい、という想いのほうが強かったので、作曲家・辻林美穂が作ったボーカル入りの曲としてアップしたという感じで、シンガーソングライターとして発表したという意識はまったくなかったですね。自分はこういう曲を書きます、という名刺代わりになればいいな、って気持ちしかなかった。でも、結局発信するようになってから1年以上経っても何の賞も受賞できず、コンペにも引っかからなかったんです。
で、最後のチャンスみたいな感じで、大学を卒業する間際にデモを送れるところに片っ端から送ったんですよ。地方のキャンペーンソングとか、高校の新しい校歌を考えましょうとか。ジャンルとかタイプとか選ばず、とにかくどこにでも送りました。まあ結局それもほとんど落選してしまったんですけど、そのなかでいくつか通ったものがあって、それがtofubeatsさんのラジオと、坂本龍一さんのラジオだったんです。
そこから、坂本龍一さんのラジオを聴いていたビクターのプロデューサーさんが声をかけてくれてのちのち悠木碧さんのアルバムに携わることになったり、tofubeatsさんのほうではおなじくラジオで曲が選ばれていたTomgggさんがわたしの曲を聴いて声をかけてくれて「 いつかボーカルをお願いしたい 」というメッセージをくれたりして。わたし失礼ながらTomgggさんのことをそのときは知らなかったので、何かよくわかんない人だけどとりあえず「 OKでーす! 」て返事してました( 笑 )とにかく、お二方のラジオで曲を流していただけたことで今に至るまでの色々なことが回り出したという感じですね。

Q:Light Wave( 先述のとおりネットレーベルAno( t )raksがリリースしたコンピレーションアルバム。辻林美穂さんのほかにシンリズム、北園みなみ、sodapop、へそのすけなどが参加した )に参加するきっかけもラジオだったんですか?

T:いえ、Light Waveは主宰の小笠原さんがsoundcloudでいろんな音源を聴いている方なので、たしかtofubeatsさんのラジオで曲が流れるよりも早く声をかけてくれました。ちょうどそのラジオで流れる前後にsoundcloudで反応してくれるひともじわじわと増えはじめてきてて。小笠原さんに関してはそこで反応していただいた方のひとりですね。
で、そのあとはとりあえず大学を卒業して、卒業間際に最終まで行ってたコンペも落ちちゃって何も決まってなかったので、一旦実家の静岡に戻りました。バイトしながら音楽での活動を模索していた感じです。

Q:ちょうど山ごもりしてた時期ですか?( 笑 )

T:そうですそうです( 笑 )実家とは別に自由に使える家があって、それが山間にあったので山ごもりってかたちになっただけなんですけど。そこで悠木碧さんの楽曲づくりとかしつつバイトしつつ、って感じの生活をしてました。そんななかで、その年( 2014年 )の5月くらいに、関美彦さんがご自身のライヴにゲストボーカリストとして呼んでくれるようになっていったんですよ。これまで自分としてはキャリアの上で選択肢として考えてなかったシンガーしてのオファーが来たので、それがきっかけで人前で歌うのもいいな、と思うようになってきて。そこからしばらくはシンガーとしてのオファーも増えて、ライヴ活動をするようになっていきましたね。

Q:その当時作曲家として作品を売り込むなどはしてなかったんですか?

T:全然してなかったですね…たまたま声をかけてくれた人についていったみたいなかんじで今までやってました…ってホントダメですねわたし( 笑 )でも、つながりを大事にしてここまでこれたのでそれはホントにありがたいです。

Q:シンガーとしてのオファーが出はじめたころには、作曲家とシンガー、どちらの道で行こうかはっきりしてきていましたか?

T:いや、まだブレブレで( 笑 )それこそLight Waveを聴いた人から良いって言われて、シンガーとして認めてもらったことがうれしくて少し調子に乗った部分もあり、根拠のないイケる感を持ったりして( 笑 )その時期はネットで”シンガーソングライター”と書かれたり言われたりするようになって、初めて「 あ、わたしってシンガーソングライターなんだ 」って思うようになったころでもありますね。
一方で、悠木碧さんへの楽曲提供のオファーももらっていて「 作曲家としてがんばろう! 」って一番強く思っていた時期でもあったんですよ。だから気持ち的には「 作家としてやっていきたい、でもたまに歌のオファーがあったらいいな 」くらいの感じでいました。
シンガーソングライターとしてがんばりたい!って思ったのは割と最近で、ライブに頻繁に呼んでもらえるようになってきたころからですかね。でも自発的に、というよりは「 これだけ人に認めてもらえているのであればそこで全力を尽くそう! 」という気持ちでがんばっていこうと思えてる感じです。
いまは意図せずして、わたしが元々サウンドトラックとかを作る作曲家になりたいと思っていることを知っている人よりも、辻林美穂はシンガーソングライターになりたい、と思っている人のほうが多い状態になっているといった感じですね。現時点で「 作曲しています 」というと「 え、そうなの?シンガーになりたいんじゃないの? 」ってよく言われるんですよ。でもシンガーとしての活動は反響もそれなりに大きいので、それはシンガーとしてのわたしが周りから評価されているということだと捉えて、求められているならいまはとにかくその道を突っ走ろう、と思ってるところですね。
もちろん、悠木さんへの楽曲提供のオファーもすごくうれしかったです。この方向でコンスタントに仕事がもらえるようになれたらいいな、ならなきゃな、って言う風に思いました。でも結局、楽曲提供の仕事をやったときに、リスナーの方々が私が書いた曲が良いから良いと言ってるのか、それともシンガーの声が好きでそう言っているのか、というのが曖昧なように思えてしまって。わたしが魂を削って書いた曲でも、受け手が感じる良さがわたしに起因するのか、それとも提供したシンガーのおかげなのかが曖昧になってしまうことに、わたしのなかではちょっと違和感があったんです。そう考えると、自分が良いと思ったものをそのまま出して、そのまま良いといってくれる人に出会える、前に出るリスクを背負ってでも、すべての評価を自分の責任において受け止められるシンガーソングライターって素敵だなって思えるようになって。そしてそのタイミングで、ライブとかも少しずつ出るようになって、シンガーとしても作品に参加するようになっていった感じです。

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ファミレスからデビュー・アルバムにつながった

Q:それで、ある意味シンガーとしての正式なスタートを切ることになった今回のデビュー・アルバムリリースに至るまでには、どういうきっかけがあったんですか?

それもTomgggさんがきっかけですね。いまわたしのマネージメントをしてくださっている森川さんが当時スマイルカンパニーで新人発掘をされていて、Tomgggさんと元々知り合いだったんですよ。森川さんがTomgggさんに誘われていったイベントで、たまたまTomgggさんがわたしの歌う「 Butter Sugar Cream 」をDJでかけているのを聴いたらしく、それがきっかけでわたしに興味を持ってくださって。それで実際にお会いして「 あぶく 」や「 You Know… 」のデモを聴いてもらい、今後どうしたいのか、と訊かれたので「 アルバムを作りたい 」という話をして、いっしょにやっていただくことになりました。それがちょうど1年前くらいの話ですね。
森川さんとは最初お話ししたときに、森川さんの行きつけのファミレスとわたしがバイトしていたファミレスがおなじチェーンで、そこのメニューの話ですごく盛り上がったんですよ!それで一気に距離が縮まったのが、いっしょにやっていくことになった大きい理由のひとつですね( 笑 )
アルバムを作る、ということを決めたのは一年前なんですけど、そこから発売元をどこにするか、というのがなかなか決まらずにいて。そのへんを森川さんが交渉していくなかでわたしは少しずつ曲作りをしたり、森川さんに言われて( 笑 )ライブに出たりしてました。そして昨年末にP-Vineでリリースできることが決まりまして、そこから急ピッチで作っていった感じです。

森川氏:ちょっと補足しますね。「 アルバムを作る 」と目標を共有してすぐ、パートナーとなるレーベル、厳密に言うとレーベルの担当者探しに着手し始めました。彼女の楽曲センスと声に反応してくださった方々が何人かいらっしゃったのですが、その方々にライブを見ていただく必要が出てきました。そこで彼女は必要に迫られあまり乗り気でなかったライブと向き合うことになります。元来作曲家志望でその頃の彼女には自分名義でライブをやるという思考がありませんでした。そこを2人でスタジオに入り、構成やどんな服を着るかなど詰めていき、去年のGWに今は残念ながら無くなってしまった西麻布の新世界で彼女に興味を持ってくださったレーベルの担当者向けに半ばコンベンション的にライブをやりました。昨今、「 アルバムを出すこと 」、「 デビューすること 」のハードルは低く手軽になってきましたがデビューすることがゴールではなく、彼女が作品を発表し続けられる環境を作ってあげることが私の仕事なので、そこはレーベルの担当者の熱意と理解に寄るところが大きいと思い慎重に進めました。
去年の夏に私がスマイルカンパニーを退職したりまあいろいろあり少し時間がかかってしまった気もしますが結局彼女の音楽性を理解してくれ1番面白がってくれた担当者の方がいるP-Vineとデビュー•アルバムを制作することに合意しました。彼女がイックバルとツアーに出たりファミレスから次のバイトに移ったりしている間に水面下では紆余曲折あり途中ごちゃごちゃになりながらもなんとか話がまとまった訳です( 笑 )

T:そうだったんですね…裏ではそんなことが…めっちゃ話飛ばしてたな、わたし( 笑 )まあとにかく、森川さんのご尽力もあってリリースが決定して、そこから2月くらいまでの間に急ピッチで曲を書き上げて、レコーディング、ミキシング、マスタリングと怒濤のスケジュールで完成まで持っていきました。ライブに出るように森川さんが背中を押してくれたり、これまで出会った人たちとのつながりがあったりで、ようやく実を結んだ、という感じですね。本当にありがたいです。

これからのtsvaci

Q:ご本人にとっても待望のアルバムがリリースされましたが、これからの展望は何か考えていますか?

T:とりあえずここを目指してやってきたのでひと段落、という感じですが、これからはアーティスト、シンガーとしての活動が強くなっていくのかな、という気がしていますね。ようやくデビュー・アルバムがリリースされて、辻林美穂という名前が世に知れ渡ることになるので、そのへんのリアクションを見て今後は考えていこうとは思っています。ツイッターでエゴサーチしてほめてくれてるツイート見たらすごくうれしくて「 よし!今日もがんばろう! 」みたいになるので、そういったリアクションも期待しています( 笑 )

Q:リリースに際して、自身初のワンマンライブも決定しています。

T:そうなんですけど、内容はまだほとんど何も決まってないんですよ( 笑 )でも、アルバムは打ち込みの曲とバンドセットの曲が混ざったものになっているので、ライブでは打ち込みだけのパートとバンドのパートで区切りをつけた、二部構成にしようとは思っています。バンドモノはライブ映えするので、今風のシティ・ポップを楽しんでもらえるよう、信頼できるサポートの人たちと、いいパフォーマンスをできたらいいな、と素直に思ってるんですけど、打ち込み系の曲は音源での作品性に重きを置いてるところがあるし、聴き込んでくださっている方々のイメージを壊したくない、っていうのもあって。ライブでのパフォーマンスで良さが伝わるのかどうかはわたしの技量にかかっていると思うのでがんばりたいです。
グッズはアイディアがあって、あぶくのMVとかアルバムのティーザーを作っていただいたデザイナーの寺岡奈津美さんといっしょにマッチを作る予定です。知り合いのミュージシャンから「 物販ではライターが売れる 」って話を聴いたので( 笑 )それと女性ファンの方にも買っていただけたらなってところも考えて、じゃあマッチ作ろう!ってなりました。みなさん買ってください( 笑 )
あとは…どうしよう、すごく緊張しています、くらいしか言えない( 笑 )ライブ自体はすごく楽しいんですけど、ものすごく緊張しちゃって、ピアノ弾く手も震えたりするので今からドキドキしています…MCもがんばって話すことを練ってみようかなと思ってますね。あと最近は折り紙アーティストとしてやらせてもらっているので、その辺のパフォーマンスもできたらいいな、と思ってます( 笑 )

その③:アルバム全曲解説へ続く

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辻林美穂・近日出演ライブ情報

4/22 ( 金 )「 citrus vol.4 」
下北沢モナレコード
【出演】 辻林美穂 / カンバス / CittY / ( OA )さとうあい 
開場 18:30 / 開演 19:00
チケット前売2000円 / 当日2300円

5/3( 火・祝 )「 シモキタの夜さ 」
下北沢モナレコード
【出演】カンバス/ KONCOS / 辻林美穂
開場18:30 / 開演19:00
チケット前売2,500円 当日 3,000円

辻林美穂・ワンマンライブ情報

2016年6月12日( 日 )
渋谷 7th FLOOR
〒150-0044 東京都渋谷区円山町2−3 Owestビル7F
TEL 03-3462-4466
開場17:30 / 開演18:00
料金 3,500円 *1ドリンク別

Tickets
●7th FLOOR店頭販売: 3/22( 月 )〜6/11( 土 )( 16:00〜22:00 )
●プレイガイド: イープラス
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●7th FLOOR電話予約: 3/22( 月 )〜6/11( 土 )
( 15:00〜20:00 tel:03-3462-4466 )

出演
辻林美穂

主催: Cloudy
協力: P-Vine Records

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オフィシャルHP
soundcloud

                     

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