映画「世にも怪奇な物語」レビュー

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エドガー・アラン・ポーの物語を原作にした三本のオムニバス作品「 世にも怪奇な物語 」はとても刺激的な映画だった。

監督はロジェ・ヴァディムとルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ。それぞれ何かに囚われる人間が描かれている。馬。同姓同名の他人。幻覚にみる少女。

ロジェ・ヴァディムのパートは女領主役であるジェーン・フォンダの衣装がコロコロと変わって楽しかった。木々が真っ直ぐに立ち並ぶ森のなかに住む富豪、そして彼女が馬に乗る立ち姿などをみるにつけ、この映画は明らかにルネ・マグリットの「 白紙委任状 」をモチーフにしてるなあ、と感じました。ルイ・マルのパートはなんといっても黒髪のBBとアラン・ドロンの美しさ。小学生時代のウィリアムのシーンが、ジャン・ピエール・メルヴィルの「 恐るべき子供たち 」の冒頭と超似ててゾクゾクした。あと生体解剖未遂。ベースとなった「 ウィリアム・ウィルソン 」が大好きなのでとても楽しめました。

ロジェ・ヴァディム、ルイ・マルの監督作品もとても素晴らしかったのですが、はたしてフェリーニのパートは群を抜いていた。アル中イギリス人が少女の幻影に囚われる話なのだが、それはおいといて主人公以外の登場人物がみんなずっとこっちを見てる。不敵な笑みを浮かべずっとこっちを見ているのです。それ以外にもカメラのパンを利用してアクシデント、または突発性を演出したり、別の意味の偶然性として煙や水面をたくさん映したり、さらに不意に登場する動物たちを映したり、とにかくスリル満点の映像で溢れていた。あと出てくる女性がみんなエロい。さらにいうと、ホセ・ルイス・ゲリンの「 影の列車 」はこの映画にめちゃくちゃインスパイアされてるに違いない、と感じた。それくらいとても似ている。先ほど挙げたカメラのパンの仕方とか、光と影の具合など、主に映像表現の部分で。もう言っちゃうけどどちらもシュルレエルなモチーフで溢れているし。今度劇場で上映することがあったら絶対に見に行こう。「 悪魔の首飾り 」は絶対にスクリーンで観たい。

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