イングランドファンなら知っておきたい4つのサッカー・トリビア【Ken Kobayashiのロンドンところどころ ワールドカップ特別編 】

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ロンドン在住のシンガー・ソングライターKen Kobayashiによるコラム。さまざまな人種や言語が交錯する世界的文化都市であり、また自身の生まれ育った場所でもあるロンドンの街中で出会った、音楽やカルチャーにまつわるあれこれを綴ります。今回はW杯特別編。イングランド代表のベスト8進出に湧くロンドンの様子とサッカーに関するちょっとした豆知識のおはなしです。

Photos by Uni

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Come On England!

こんにちは!みなさまいかがお過ごしですか?サッカーのワールドカップが面白すぎて、仕事や生活に支障が出てしまっている、なんてかたも多いのではないでしょうか?(笑)かくいうぼくもそのひとりで、最近は次の音楽プロジェクトに向けて録音しつつも、連日繰り返されるエキサイティングな試合の数々がどうしても気になってしまいます。どのくらい気になっているかというと、普段このコラムではおもにロンドンの音楽情報を発信しているのに、そのコンセプトを無視してW杯についての記事を書いてしまうくらい気になっています(笑)。日本代表も惜しかったですね。ブラジルに勝ったベルギーを敗退目前まで追い詰めたその姿に、ぼくも勇気をもらいました。

日本代表が短すぎる夢を見せてくれた24時間後、ぼくが生まれた国の代表チームであるイングランドは、コロンビアにPK戦でなんとか競り勝って、12年ぶりにベスト8進出を決めてくれました。ぼくはその試合をうちの近くのパブで観戦してたんですが、ご存知のとおり、イングランドは統計的にPK戦が世界一弱い国。延長の前後半が終わってPK戦になったときは店内に「またダメか…」と「今回こそは!」という感情が「またダメか」寄りにうずまいて、異様な雰囲気に包み込まれていましたよ。フタを開けてみればGKピックフォードのビッグ・セーブもあってギリギリ勝ったからよかったものの、イングランド代表にはいつもヒヤヒヤさせられています…(笑)

ところでイングランドはサッカーの母国だけに人びとが代表チームを誇りに思う気持ちが高く、W杯に対する期待は毎回めちゃくちゃ大きい(実力はさておき)。今回は主力が若手メンバーというのもあって開幕当初は国内の期待もそれなりだったけれど、決勝トーナメントの組み合わせが有利になったり、ワールドカップでのPK戦に初めて勝ったりと、大会が進むにつれて各メディア「今度こそは優勝できるかも…!」という機運が高まってきた。準決勝をかけた試合があるいまなら、街を歩けばそこら中で「Football Is Coming Home」のチャント(応援歌)が聞こえてくることだろう。そんなわけでいろいろ言ってはみたものの、もちろんぼくの想いもただひとつだ。決勝トーナメントもこれからが山場。頑張れイングランド!Come On England!

…とまあ、声が大きいひとりごとみたいな感じでこのコラムを終わらせてしまってもいいんですが、それだと"情報"サイトであるsimonsaxon.comさんに申し訳ないので(笑)、ここでぼくが20年間ロンドンに住んで培ったイングランドサッカーに関するトリビアを4つほど紹介しよう。もしかすると、フットボール・マニアのあなたでも知らない事実があるかも知れない!

イングランドファンなら知っておきたい4つのサッカー・トリビア

1.参加が遅れたサッカーの母国

じつはワールドカップが初めて開催された1930年から1946年大会まで、イングランドはW杯に参加していなかった。できたばかりのFIFAとの仲が悪かったことも関連しているが、当時「サッカーの母国であり世界最強のナショナルチーム」を自負していた誇り高きイングランドは、W杯にわざわざ自分達が出場する必要がないと考えていたのだ。そのかわりにW杯が開催されるごとに優勝チームをイギリスに招いて自称「本当の決勝戦」を開催していたという。ちなみに重い腰を上げて初めて参加した1950年のW杯では、なんとまさかのグループ敗退。初優勝までにはそれから16年後、1966年の自国開催ワールドカップまで待たされることになった。その後も、イングランド代表が歩む自他共に認める「世界最強のナショナルチーム」の称号獲得に向けた長い長い道のりがいまだに続いてることは、みなさまご存知の通りである。

2.ラッパー・イングランド代表、ジョン・バーンズ

かつてイングランド代表にはラッパーがいた。といっても、イギリスの有名なテクノ・ロック・バンドNew Orderがイングランド代表の公式応援歌「World In Motion」を作った際に、当時の現役サッカー選手(ジョン・バーンズ)をラッパーとしてフィーチャーしたということなのだけど。それにしても、バーンズのこのラップがめちゃくちゃ上手いのだ。こんなに才能があるラッパーが代表にいるとはおそらく誰も夢にも思わなかっただろう。ちなみにこれでバーンズは一躍有名人になっただけでなく、その曲がそのままチョコの宣伝に使われたりもして、当時ロンドンではちょっとした話題になった出来事だった。マルチタレントということばは彼のことを指しているに違いないですね。

3.サッカー・スタジアムの街

これはロンドンにまつわるトリビア。なんとこの街にはサッカーの試合ができて、かつ一万人以上収容できるスタジアムが12個もある。この数はヨーロッパどころか世界の都市でも最大だ。ちなみにパリは3つ、マドリードは4つ、東京は2つ(国立競技場と味の素スタジアム)。プロのサッカークラブ数が多いだけでなく、ウェンブリーのように代表チームの試合に使うスタジアムもあったりするからこそこんなに多いわけですが、これじゃぼくたちはスタジアムが建っている場所のすき間をぬってこの街に住んでいると言っても過言ではない状態だ。これだけあれば、普通は国単位で開催するワールドカップをこの街だけも開催できるんじゃないか。とはいえ、一見お金の無駄使いと思えるこの状況も、イングランドやロンドンのサッカー熱を象徴しているかもしれないですね。

4.ふたつの王者になれるチャンス

最後にもう一つ!一部のマニアは知ってるかもしれないけど、イングランドは今年優勝すると、W杯だけでなく非公式サッカー世界王者になることができる。非公式サッカー世界王者とはなんぞや?という人は、ぜひリンクのウィキペディア記事を見てほしい(ぼくが説明するより手取り早いだろう)。ふたつの王者になれる絶好のチャンスなのだから、今年こそ優勝、とはいわないまでもせめて決勝まではいってほしい。今日のスウェーデン戦は勝てるかな~?いやきっと勝てる!あらためてCome on England!

著者プロフィール

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Ken Kobayashi

ロンドン在住の宅録シンガー・ソングライター。日本、ドイツ、イギリスにルーツを持つ自身のバックグラウンドとほとばしる好奇心を生かし、ラテン、ボサノヴァ、エレクトロ、ブリット・ポップなど多種多様なジャンルを咀嚼した良質なポップ・サウンドを奏でる。これまでに自主レーベルSound Dust Recordsより2枚のアルバム「 My Big Foot Over The Sky 」「 Maps & Gaps 」を、P-Vineより「 Like The Stars 」をリリースしている。最新作はシンガーKanadeとコラボしたシングル「 ハグ 」と「 アカイソラ 」。夢は世界一周。Facebook / Twitter / soundcloud / instagram

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