ベルギー対アルジェリアマッチレポート【FIFAブラジルワールドカップ2014】

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前半

立ち上がりからポゼッションしたのは大方の予想に反してアルジェリアのほうだった。センターサークル付近でゆっくりと横パスをまわしながら前線の動き出しを促しつつ、機をみて縦パスを出して主に左サイドから速い攻撃につなげようとする意図をみせた。ベルギーはそんなアルジェリアの入りに虚をつかれたのか、少し窮屈そうなプレーでなかなかリズムをつかむことが出来ず。序盤はアルジェリアペースで試合が進んでいった。

15分を過ぎると個々の能力に優れるベルギーが徐々に玉際での競り合いに勝ってボールを保持することが多くなってきたが、全体的に選手間の距離が広いため攻守の切り替えに難があり、コンパクトな守備陣形を保つアルジェリアに対してオフェンス面で効果的なコンビネーションを生み出せない場面が目立つ。アルジェリアは前線も含めた全員での守備からロングボールでカウンターを狙う展開になった。最初に大きなチャンスを得たのは再三カウンターに苦しんでいたアルジェリア。前半25分に左サイドの裏に抜けたMFマフニズによって放たれたクロスにファーサイドから飛び込んだMFフェグリが、ベルギーDFヴェルトンゲンに倒されPKを獲得。これをフェグリ自らきっちりと決めて、アルジェリアがグループ最大のライバルに対して先制点を取ることに成功した。

まさかの先行を許したベルギーは攻勢を強めていくが、先制したことで完全に引いてカウンターを狙う様相をさらに色濃くしたアルジェリアの全員守備を前に苦しむ。ベルギーは時間が経過しても相変わらず選手の距離感が悪く、スピーディーな攻撃でチャンスすら作り出せない状況が続く。アルジェリアのディフェンスラインは比較的低い位置に設定されているため、ベルギーは相手を引き出す意図で打たれたミドルシュートを打ち、それが枠を捉える場面がおおくなる。終了間際には今大会注目の新星FWアザールの個人技からいくつかチャンスを作り出したがベルギーは決めきることが出来ず、アルジェリアが1点を守りきって前半は終了した。

後半

ベルギーは後半開始からシャドゥリに代えてメルテンスを投入、攻撃の活性化を図り得点を目指す。アルジェリアは前半と同様自陣ペナルティエリア手前にしっかりとブロックを構成し、高い守備意識を持ってカウンターの機会をうかがいながらベルギーを迎え撃つ展開となる。焦りの見えるようになったベルギーは自らのファウルからボールを失い、前がかりになったため攻撃から守備に移るテンポがさらに遅くなってアルジェリアにボールキープを許す機会も多くなった。

そんな状況をみてベルギーは13分にルカクに代えてオリジ、22分にはデンベレに代えてフェライ二を投入。交代枠3枚を使い切りフィジカルの優位性を前面に押し出した捨て身の攻撃に出た。すると後半25分、途中交代で入ったばかりのフェライニがドゥブライネの左サイドからのクロスにヘディングで合わせて同点に追いついた。

勢いに乗るベルギーは逆転を目指して縦に推進力がある迫力の攻撃で完全に引きこもったアルジェリア守備を押し込んでいった。そして後半35分、これまた代わって入ったメルテンスがカウンターからアザールのパスを強烈に叩き込み得点。1点目の勢いを保ったまま逆転に成功し、ヴィルモッツ監督の思い切った采配が見事結実した。

逆転した後も、ベルギーは攻撃の手を緩めず、フェライ二の運動量と高さ、メルテンスの突破、そしてアザールのクリエイティビティを中心にアルジェリアを圧倒し続ける。アルジェリアも少ないチャンスをなんとかゴールに結びつけようと奮闘するもベルギーの激しさの前に成す術無く、結局試合はそのまま終了。これまでの大会の流れを汲んで、先制を許したベルギーが後半の怒濤の攻撃で逆転勝ちをおさめた。

ベルギーとアルジェリア、それぞれの印象。

ベルギーは名前はそんなに売れていないものの実力者ぞろいのスター軍団にもかかわらず、その能力を生かしきるチームを形成するには至っていないという印象を強く受けました。それぞれが自由にやっている感じ。おそらく後半のように上手く回れば非常に強大なパワーをもった攻撃が繰り出せるのでしょうが、最低限のベースができあがっていないような気がしてすごくもったいない、危うさが残るチームだなあと感じました。ともあれ個々の能力が本当に違うためおそらくグループリーグは突破できるでしょうが、それ以降の展開は星回りとメンタル次第、ということになりそうです。

スターティングメンバーの11人中9人がフランス出身、というアルジェリアは、アフリカのチームらしくなく、非常に組織立った守備が出来るチームですごく好感がもてました。今回はベルギーディフェンス陣の高さと強さになかなか苦しみましたが、他のグループライバルに対してはもう少しスピーディーな展開を出しつつ素晴らしい試合をみせてくれるんじゃないかと思います。勝てるかどうかは別の話ですけれどね。

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