ラーメンズ小林賢太郎がテレビに出演しない理由

ラーメンズとしての活動が有名な、劇作家／パフォーミング・アーティストの小林賢太郎さんによる「小林賢太郎TV6 」が今年も放送されるようです。

番組について。

「小林賢太郎TV 」は、年1回のペースでNHKプレミアムにて放送されているプログラムです。
番組内容は主に小林賢太郎さんの手がけたコント。今年でもう6度目の放送になります。過去には、彼が普段活動しているKKPという一人舞台でのキャラクター「ポツネン」を演じるものや、竹井亮介さんとの二人コントなどをやっていました。

今回は俳優の松重豊さんをフィーチャーしているみたいですが、昨年放送された5では、大泉洋さんをゲストに迎えた座敷童にまつわるショートドラマを放送していたりもします。

しかし特筆すべきはやっぱりこの番組オリジナルである「お題コント」だと思います。小林賢太郎さんが用意したコントをすべて撮り終えた後に、番組スタッフからカードを渡され、そこに書かれたお題に沿ったコントを２、３日という短い期限で作り上げる、という番組の最後に放送されるコーナー。これはコントであると同時に、それを作り上げる過程をみせるドキュメンタリーにもなっており、彼のコントだけでなくパーソナリティやその制作方法にも興味がある僕のような人間にとっては大変エキサイティングなコーナーなのではないかと想像しています。

シリーズの最初では、先ほどもあげたような一人舞台の内容を、主に観せ方においてテレビ向けにアレンジしたものが多かった印象を受けましたが、年を追うごとに放送技術（例えばクロマキーやモンタージュなど）を駆使して、まさしく"テレビでしかできない"方法で小林賢太郎ワールドを表現しつつあるような気がします。大泉洋さんが出演したドラマもまさにそうで、舞台を主軸にしている小林賢太郎さん自信、テレビドラマで自作を表現するとしたら、ということにチャレンジしたかったのではないか、などと考えてしまいます。

小林賢太郎とテレビとの距離感

小林賢太郎さんがテレビに出る、となるとどうしても昨年放送されたフジテレビ「僕らの時代」を思い出します。民放だと十数年ぶりの出演となったこの番組では、いとうせいこうさんバカリズムの升野さんとともに対談を行っていました。その中で「なぜあまりテレビに出ないのか？出たくないのか？」と訊かれた際、小林賢太郎さんは「決してテレビに出たくない、というわけではないんです。例えばバカリズムさんが大喜利の番組にでたりしていますが、僕も大喜利は大好きだし、できることなら出演者の人たちといっしょに大喜利をやってみたい。だけどテレビ番組でやるとなると、大喜利をやる、というだけでなく、テレビに出演する人、という役割もこなさなきゃいけなくなる。それが僕はあまり得意ではないんです。しかし、そういう番組に出てる人たちはその道のスペシャリストであったりするし、そのレベルにないと出演してはいけないと思うので、僕はそういう人たちに敬意を払ってテレビには出ないようにしているんです」と話していたことがいまだに忘れられません。
また同時に「僕は今著作者としての活動も意識しているので、もしテレビに出るのであれば、自分で作ったものをテレビでみせる、というかたちであれば是非やってみたいと思っている」というような発言もしていて、まさにそれは小林賢太郎テレビのことだなー、と考えたことも憶えています。
しかしこのような発言ができるってホントすごいですよね。場合によっては「俺をテレビに出したかったら俺に全部やらせろ」という意味にも取られかねないと思うのですが、彼は舞台を中心に活動し成功しているし、はたしてそう取られたとしても彼にとって実質的にネガティヴなものをまったくもたらさない状況、状態に身を置いていることがものすごくかっこいいですね。まさにパフォーミング・アーティストを自称するだけはあるなあ、と感じました。

事の真偽はどうあれ、おそらく"全部オレにやらせて"もらっているテレビ番組に違いない今回の「小林賢太郎テレビ６」もすごく楽しみです。

番組について。

小林賢太郎とテレビとの距離感

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