SlowthaiがデビューLPよりタイトルトラック「Nothing Great About Britain」MVを公開

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ノーサンプトン出身のラッパーSlowthai(スロウタイ)が、自身のYouTubeオフィシャルチャンネルにて「Nothing Great About Britain」ミュージックビデオを公開しました。

2ステップやダンスホールレゲエに根ざしたタイトでキレのいいグライムの特長のいくつかを取り入れつつうまくポップに昇華している感のあるかっこいい曲ですね。先日発表された人気グライムMCのStormzyの新曲「VOSSI BOP」は、グライムというジャンルの枠をさらに広げるようなスタイル、もといグライムの特徴のひとつである音割れなんて気にしないクラブ仕様なスーパーエクストラベース(や不穏なイントロ)は残しながら、フロウもトラックもいまやスタンダードと化したトラップ・ミュージックに大きく寄せていましたが、この曲はそれとは対照的にポップ側からグライムに寄せているように聞こえます。それとは別に、Slowthaiの声のトーンやフロウはかつて「イギリスのエミネム」と呼ばれたバーミンガム出身のラッパーMike SkinnerことThe Streetsを彷彿させるし(同じミッドランズ出身だからでしょうか)、曲中に登場する「oi」というフレーズ連呼には「Don't Mug Yourself」を思い起こさずにはいられませんね。

映像はアーサー王物語でおなじみの聖剣エクスカリバーを抜いてイギリスの王位継承者となったSlowthaiのその後を描いていおり、フードを被った不審な若者(彼の友人たち)に士爵授与を行ったり、BBCのパロディをしたりと、タイトルで予告されているとおり、イギリスのステレオタイプを思い切り茶化した内容になっていますね。彼はMVだけでなく、楽曲の歌詞のなかにも一貫してそういったテーマに基づいたクリエイションをみせていますが、もしかするとChildish Gambino「This is America」大ヒットの影響もあるのではないか、と考えてみることもできそうです。

「Nothing Great About Britain」は、5/17にリリース予定の同名デビューLPのリードトラック。アルバムは現在slowthaiのオフィシャルサイト、ならびにSpotifyやAppleMusicaなど各種ストリーミングサーヴィスでプレオーダーが可能となっています。くわしくはこちらのリンクからチェックしてみてください。

ミュージシャン・バイオグラフィ

Slowthai Profile Photo

SlowthaiことTyron Kaymone Framptonは、イギリスのNorthampton出身のラッパー。母親が10代の頃に生まれたという彼は、バルバドス諸島とアイルランドにルーツを持っているそうです。ちなみにSlowthaiという名前は、吃音に悩まされ、ゆっくりとしか話すことができなかった彼の幼少期のニックネーム「Slow Ty(ron)」からきているとのこと。
幼少期の人生はなかなかにハードだったようで、3歳のころに父親が失踪以降、シングル・マザーという家庭環境で、地元では「The Bush」と呼ばれるNorthamptonの白人カウンシルフラットに住みながら4人の兄弟たちとともに過ごしたそう。2001年(7歳)には1歳の弟を筋ジストロフィーで亡くすというタフな出来事を経験。もちろん、これはその後の彼の人生に大きく影響を与えた出来事であったとSlowthaiは語っています。
少し飛んで2011年(17歳)には、ノーサンプトン・カレッジの音楽テクノロジーコースに進学。しかしほとんど学校には行かず、その代わりに友人たちと地下にある近くの"レコーディング・スタジオ"に入り浸っていたそうです(母親が警察に呼び出されることもしばしば起きたとのことで、"レコーディング・スタジオ"が何を指しているかは察してください)。カレッジを出たあとは土木作業をはじめさまざまな職を転々とする日々を過ごしていた彼ですが、アパレル・ショップの店員として働いていたときは、店の収益を友人たちへ不法に回していたことが明らかになってクビになったこともあるとか。なんてパンクで自堕落な生活でしょう!

とはいえ、アパレルショップをクビになったことを最後にそんな生活に区切りをつけ、2015年から音楽に集中することを決意。本格的にラッパーとしてのキャリアをスタートさせました。2016年には自主制作でシングル「Jiggle」をリリース。その後インディー・レーベルBone Soda目に留まり、いくつかのシングルとEPをリリースしていくなかで徐々に国内での人気を獲得。昨年の終わりにはBBCによってSound of 2019に、「Doorman」がNMEのspotifyプレイリストNME100に選ばれるなど、いまやもっとも注目されるべきミュージシャンのひとりに数えられる存在になったと言えるでしょう。今回出るアルバム「Nothing Great About Britain」には、グライムの重鎮Skeptaや、同世代の注目トラックメーカーMura Masaも参加するなど、イギリスの現行ポップ・シーンを追う人々にとってはたまらないラインナップになっていることもそれを証明しているのではないでしょうか。

そんな彼のWebで聴ける過去の作品は以下のとおり。まだチェックが追いついてないそこの音楽好きのみなさんはこの機会にぜひ聴いてみてください。

関連リンク

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Nothing Great About Britain
Nothing Great About Britain

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slowthai
Method (2019-05-24)
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