シャーロック シーズン4の雑然とした感想
シャーロック4、今さら見終えたのだがとんでもなくすごかった。なぜか絶望感すら覚えるおもしろさであった。
関連リンク:BBC SHERLOCK – JAPANESE FANSITE
ストーリー的なプロットや面白く見せるための仕掛け、原作との詳細な対比などはほかの素晴らしいシャーロック・ウォッチャーの方々のレヴューや感想にお任せするとして、ここでは雑然と全体的な感想を述べることにします。
早足で駆け抜けるSHERLOCK4の感想
1話目でメアリーが死ぬのは原作に照らせばわかっていたことだが、それがジョンとシャーロックとの訣別に使われるとは思わなかった。2話目は、物語の大半がドラッグやPTSDによるインターナルな会話( ジョンと亡きメアリーの会話だけでなく、シャーロックの脳内モノローグも含む )やヴィジョナリーな風景で占められてるのがとにかく最高。かつ、ストーリーはSAW1を彷彿させる極上のサイコホラーで本当に感動した。原語で聞くユーラスのバカみたいな喋り方が好き。そして最終回は、2階に上がると幻覚がみえ、地下に潜ると抑え付けられた狂気が存在する、というティピカルな精神分析的モチーフを使いながら「 これがメジャーを担うサスペンスドラマの最新型だ 」というのを猛々しく宣言しているかのようだった。The Abominable Brideからシーズン4の流れでスラヴォイ・ジジェク的な誰かによる精神分析的レビューを聞いてすぐ忘れたい。
ユーラスのキャラ造詣は幽閉されている天才という意味では森博嗣「 すべてがFになる 」の真賀田四季、あるいは異常な知性を持ち合わせてしまったおかげで逆にその知性を放棄する結果となる、という点において松本大洋「 ナンバー吾 」のマリー( マトリョーシカ )みたいなので、マイクロフト役で脚本担当のマーク・ゲイティスは制作段階でこれらを繙いていたに違いない。
いえ、似たような話はどの国にもあるだろうから実際にはそんなことないのはわかってますけれど。
あと最終回冒頭、マイクロフトを罠にはめるシーンのトラウマティックな映像は単純に大好き。キラー・クラウンってなんでこんなに魅力的なんだろう。そして顔のない少女はどこか中村宏的である。
こういうsuperbなモノを見せられるとどうしてもこのレヴェルの( 他言語話者でも文化面を含めて理解や翻訳可能かつ海外でもヒットが見込める )映像コンテンツが日本でも制作可能かどうかを考えてしまうのだが、かなしいかな「 今は絶対に無理! 」と言わざるを得ないと思う。アニメならできるかもしれないですね。
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