「イニスフリー」(ホセ・ルイス・ゲリン)レビュー

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ホセ・ルイス・ゲリンによるドキュメンタリータッチの映画「 イニスフリー 」を観ました。

ソフト版元のオフィシャルなあらすじは以下のとおり。

ジョン・フォードの名作『静かなる男』のロケ地で歴史的記憶をたどる幻想的な記録映画

『シルビアのいる街で』( 2007 )の監督ホセ・ルイス・ゲリンの名を国際的に知らしめた実験的記録映画『イニスフリー』は、『静かなる男』( 1952 )の舞台となるアイルランドの架空の村イニスフリー( ゲール語ではイニシュフリー )のロケ地コング村とその周辺で撮影された。現地でのフォード映画の記録をたどりながら、1988年に5週間かけて撮影され、翌年10日間の追加撮影が行なわれた。
出演者は地元の住民なので、使用言語は英語とゲール語だ。フォードは1937年から製作したいと願っていた『静かなる男』のコング村ロケが行なわれたのは、1951年夏の10週間だった。
『静かなる男』の時代設定は1927年だ。映画に出てくる駅のある町キャッスルタウンはレイシュ県に実在する。

『イニスフリー』では、フォードの友人キラニン卿マイケル・モリスや地元の紳士たちによる地元の地理や歴史紹介を交え、今や伝説と化している『静かなる男』に出てくるスターの演じる個性的な登場人物の人物造型や挿話が引用される。さらに、地元の人々の現在の生活の描写が、土地にまつわる集合的記憶、ケルト文化の古い伝承、アイルランド人の悲劇的歴史などと自由な連想で結び付けられる。

『静かなる男』の映像とサウンドトラックが引用されるほか、W・B・イエイツの詩「 イニスフリーの湖島 」のシリル・キューサックによる朗読も引用される。
ゲリンの映画愛に震える一編。

引用元:Amazon.co.jp | イニスフリー Blu-ray DVD・ブルーレイ - キラニン卿, アナ・リヴィア・ライアン, フィンバー・モロイ, ホセ・ルイス・ゲリン

あらすじに書いてあるとおり、アイルランドの小さな町とそこで撮影されたジョン・フォード監督の映画がメインのテーマでしたが、あらゆる映画のオマージュを感じさせるシーンがたくさん。みつばちのささやき。アンダルシアの犬。狩人の夜。8 1/2。あとタイトルはわからないがハリウッドの青春映画。あとはシュヴァンクマイエルの「 オトランド城奇譚 」なんかも思い出した。そしてカフェのシーンではシルビアのいる街での飛行士バーのシーンと同じく、またしてもマネの絵画「 フォリー・ベルジェールのバー 」が引用されていた。ゲリンはホントにこの絵画が好きなんですね。この映画では女性の胸に花はささってなかったけれど。

なんてことを連ねてみたのは、たった一ヶ月ほどイニスフリーという町に滞在しただけ、さらに町の住民のみを起用して作られたほとんどドキュメンタリーに近い作品にも拘わらず、先にあげた劇映画のようなシーンを作り上げてしまう才能に脱帽してしまっているから。そのほか印象に残っているのは木漏れ日が見える木々のアップに老人のしわだらけの顔をオーバーラップするシーンと、ダンスシューズを履いた老人が顔に笑みを浮かべ軽く奇声をあげながら森の中をステップを踏みながら回るシーン。老人だらけ。
あとカール・ブロスフェルトにも思いあたる。「 イニスフリー 」を観終えて直線的に思い出したのは、彼の撮った植物の写真だった。

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