すれ違いコントと乗り換え案内

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今年大学に入学したばかりだというわたしの通った高校のずいぶん後輩と知り合った。映画が好きだという彼と少しだけ話をしたが、途中ぼくはフェリーニの話を、彼がベニーニの話をしていたのになんとなく話が噛み合っている時間帯があった。日常におけるアンジャッシュな瞬間。人生がエンタの神様なら、あのときぼくの下には「 フェリーニの話をしている 」、彼の下には「 ベニーニの話をしている 」というテロップが入っていたに違いない。話題がすれ違っていたことは彼と別れてからずいぶんあとに気がついた。

新宿駅で電車を待っていると、足を骨折して松葉杖をついたラテン系の女性と、4枚重ねた座布団くらいの大きさのごつごつした四輪のラジコンみたいなものを引きずった中国系の男性、という外国人二人組に道を尋ねられた。先日のご老人の件といいここに来て急激に頼られ体質になりつつあるわたし。中央線の下りホームで四ツ谷に行きたいと言っていた彼らに、この電車は四ツ谷にはいかないと伝えると「 なぜ行かない?乗り換え案内アプリだとこの電車だと言っている 」と声を荒げられたので「 とにかく行かない、向こうに見える同じ色の逆向きの電車に乗ってくれ 」と伝えると、ありがとう、と言い残し去っていった。

という一連の流れを、相手は片言の日本語で伝えてきたので、日本語にしようかそれとも英語で言おうか迷いながら答えていたら、いつのまにかわたしも片言の日本語になっていた。コノ電車、四ツ谷 イカナイ。ムコウノ 同ジ オレンジ色ノ電車ナラ 四ツ谷 行ケル。彼らは無事に辿り着けただろうか。

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