かもめ児童合唱団と井の頭レンジャーズ「思い出のロックンロール」レビュー いわゆるぼくは音楽を聴いているだろうか状態

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今年初めて買ったレコードは、かもめ児童合唱団「 思い出のロックンロール 」7インチ。セルジュ・ゲンスブールが作りジェーン・バーキンが歌った名曲を、レゲエでカヴァーしたキアーな一枚。厳密には安田成美による日本語ver.をベースにしている。訳詞は大貫妙子。演奏は井の頭レンジャーズ。

この曲は典型的な「 情報で聴く音楽 」だと思う。たとえば小学生以下の子どもたちに"オトナ"な歌詞を歌わせる、というかもめ児童合唱団スペシャルティなギミックをはじめ、レゲエでカヴァーしたこと自体に晩年のゲンスブールとレゲエとの関係を想起させるし、曲自体の60年代のロックスターたちの名前を羅列する、というアイディアには大瀧詠一「 いかすぜこの恋 」やピチカート・ファイヴ「 さ・え・ら ジャポン 」との連続性を思い出す。さらには大貫妙子が訳詞を担当しているのも過去にYMOとその周辺のミュージシャンたちのスタッフをしていたというプロデューサーの藤沢氏の文脈を匂わせる。そもそもこのアレンジにしたのは曲名とラヴァーズ・ロックってジャンル名とを掛けてるのかもしれない。

しかし、現状上に挙げたようなものを魅力と捉え、僕はこの曲を好きだと思っているが、そういった過去の偉大な音楽や音楽家たちについての情報をすべて取り払ったうえでなお、この曲をいいと言えるのか問われると、素直に肯定できる自信がない。いわゆる「 ぼくは音楽を聴いているだろうか 」状態。流れている音よりそれに付随する情報を愛しているのではないかという懸念。こんなことだと某三島由紀夫賞受賞作家に「 YMOの元スタッフがプロデュースした曲?それは音として聴こえているのですか 」とか言われてしまいそうである。

とはいえもしそうなったら、それでも好きだよ ©︎指原莉乃、とか応えつつ、結論を先延ばしにしながら生きていこうと思います。

( さらに余談ですが 曲のなかで原詞のフランス語でも歌ってるんですけど、かもめちゃんたちはレコーディングの際 耳コピした歌詞をカタカナで書いた自筆のカンペを見ながら歌ったんですって。なんてかわいらしいエピソード。アナログフィッシュの下岡氏もライヴでThe La's「 There She Goes 」をカヴァーするときはカタカナカンペを見ながら歌うらしいですね。歌う佐藤健寿ことアジカンのゴッチが言ってました。 )

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