ヤン・シュヴァンクマイエルの考える「触覚」の大切さ【Švankmajer’s list】

自身最後の長編、と銘打った2018年公開予定の映画「蟲」のクラウドファンディングを実施しているチェコの現役シュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエルが、先日開設された彼の公式Youtubeチャンネルにて、「 Jan svankmajer's list 」と題された、彼の作品における特徴的なモチーフの役割について解説する動画シリーズをアップしていました。

Jan Švankmajer - YouTube

今回は、シュヴァンクマイエルの映画における「 Tactility（触覚、手触り感、映されたものの質感が生々しく表現されること）」について解説していましたので、以下に紹介したいと思います。

ヤン・シュヴァンクマイエル映画における物質の触感の生々しさとは

日本語訳

触ること

1974年以来、わたしはイマジネーションと手触りとの関係に焦点をあてています。集合的にも別々にも、わたしはそれらの関係について実験をしているのです。例えば「触覚とイマジネーション」というタイトルの本も出しましたし、シュルレアリストのグループのなかで嫌な感触についての調査を行ったこともあります。

なので…触ることはわたしにとって非常に重要です。CGアニメーションが好きではないのも、それらから手で触れられる感覚が失われているためです。CGはすべて仮想的なもので、だからこそアニメーターは物体に触れることなくその物体に動きを与える。だから触感からくる感情的な部分が失われるのです。

わたしの映画は、初期の段階からたくさんの繊細な部分を考えながら作りはじめ、撮影中は常にオブジェ（ここではシュルレアリスム的な文脈におけるオブジェ）たちの構造に注目しています。そしてそれらにわたしが直接触れてその感覚を理解する、というだけでは映画作りにおいてひとつの段階にすぎません。その段階だと映画を観るひとに触れた感覚は伝わらない。だからわたしのなかでそのオブジェにおける視覚と手触りの感覚がつながって初めて、映画のなかでそのオブジェたちの手触りを表現することが可能になり、人々は視覚を通してあたかもそれらオブジェを触っている感覚を味わうことができるのです。

Tactility

Since 1974,I have focused on touch in relaton to the imagination.I experiment - both,collectively and individually.I have written a book "Touch and the Imagination" and I ran, for example, a survey on repulsion in a surrealist group.

So... touch is very important for me.That's why I dislike computer animation,because the tactile dimension is missing there.It's all virtual, so that the animator does not touch objects he's putting in motion and it loses the emotional level that comes from touch.

My films have worked with great detail from the start.You see, I've always focused on the structure of the objects I was recording.And that's just one step from touching them in a way, which is something you cannot do in film,that connection between the eyes and hand was the moment that convinced me that if I show some tactile situation in a film, people will feel it through their eyes as if they were actually touching it.