Surréalisme

ヤン・シュヴァンクマイエル、亡き妻エヴァを語る。

2016/07/01

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エヴァ動画スクリーンショット。

21世紀を生きる数少ない現役シュルレアリストのひとりである芸術家、ヤン・シュヴァンクマイエルがyoutubeにオフィシャルチャンネルを開設していました。

Jan Švankmajer - YouTube

チャンネルには現在数本の短い動画がアップされていますが、そのなかでシュヴァンクマイエルがみずからシュルレアリスム、オブジェ(ここでは一般的な"インテリアとしての芸術性のある置きもの"という意味ではもちろんなく、本質的な意味でのオブジェのこと。シュヴァンクマイエルの作り出す作品の多くもオブジェ)、2005年に亡くなった彼の妻であり、創作活動における重要な共同作業者でもあったエヴァについて語っています。その内容があまりに素晴らしかったのですが、ムーヴィーの原語はチェコ語で英語字幕しかなかったので、以下に日本語で訳してみました。あわせて英語字幕も書き起こしましたのでよろしければチェックしてみてください。

※シュヴァンクマイエルによる過去のリファレンス動画日本語訳は以下のエントリからご覧ください。

シュヴァンクマイエル本人によるインタビュー&作品解説動画まとめ

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ヤン・シュヴァンクマイエル、エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァを語る

英語字幕書き起こし


On Eva
Eva was an infantile, like me.
That what we had in common.
I still don't understand how we managed to survive in this utilitarian world of "adults".
Eva had her own program.
Creative work was a kind of combat tool for her.
once she used to fight her brothers.
She fought with them for their father's favor.
Of course,she sometimes also saw a rival in me,but this never hindered our life together and our cooperation;on the contrary,it somehow made our relationship more dynamic.
When I asked her to work on certain tasks in my films,I naturally had to carefully select what she could do in the particular film because she could not work like the others or accept any instructions in her creative work precisely because she was an infantile
and they are always uncontrollable for her.
But I was convinced that she would manage the tasks I entrusted to her more authentically than I would.
However, any cooperation on film was essentially distraction from her program for her.
It was actually distraction - distraction from her painting.

日本語訳

エヴァはこどもでした。わたしのようにね。それこそ私たちが共有していた部分でもあります。わたしはいまだにこの功利主義者たちが作り上げた「大人」の世界を生きていく方法を理解していません。エヴァには独自の行動原則があり、創作活動は、彼女にとっていわゆる戦闘兵器でした。かつてエヴァは父親に気に入られるため、彼女の兄弟たちを戦闘を繰り広げていました。もちろん、ときに彼女はわたしにも敵対心を持っていましたが、そのことが我々の共生や共同作業を邪魔することは決してありませんでした。というより、まったくの逆で、エヴァのわたしに対する敵対心によってわれわれの関係はよりダイナミックなものになっていました。彼女にわたしの映画のなかで作業をお願いするとき、当然わたしはその映画のなかで彼女が何をできることを注意深く選んでいく必要がありました。というのも、彼女は映画に関わるほかのどの人ともおなじように作業することができなかったし、彼女の創作活動に関するどんな指示も受け入れてくれなかったから。彼女はこどもだからね。指示なんて理解できるわけがなかった。でも、彼女にまかせたものは、わたしがやるよりももっと本質的なかたちで表現されるから、いつもそれに納得させられていました。とはいっても、どんなかたちであれ、わたしの映画への協力は彼女にとって、彼女独自の行動原則を根本的に邪魔するものでした。また実際に、彼女にとっては絵画からはなれた気晴らしでもあったのですが。

おまけ

ヤン・シュヴァンクマイエルは現在チャペック兄弟の戯曲「虫の生活」を上演する劇団をえがいた新作映画「Insect(英題)」を撮影中で、2018年公開をめざしてクラウドファンディングを準備しているようです。5/20から開始されるようなので、ファンの方はぜひ応援してみてはいかがでしょう。

Jan Švankmajer: Insects

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