リサンドロ・アロンソ「約束の地」レビュー。伏線は回収されないほうがいい。

投稿日:01/11/2016 更新日:

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アルゼンチンの監督リサンドロ・アロンソ「約束の地」を観た。19世紀末のパタゴニアを舞台に、アルゼンチン政府軍による先住民掃討作戦に従事していたデンマーク人技師(今で言う軍のキャリア)ディレンセン大尉が、現地の若い男と突然失踪してしまった、母国から連れてきていた娘・インゲボルグを探して荒涼とした礫砂漠をさまよう話。2014年のカンヌで国際映画批評家連盟賞を受賞している。

リサンドロ・アロンソ「約束の地」の独特なフレーミング。

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スタンダードサイズの四隅がまるくトリミングされた特徴的なフレーミングは、撮影監督 ティモ・サルミネンのアイデアとのこと。彼はアキ・カウリスマキ全監督作の撮影も担当しているらしい。日本でいうと小津における厚田雄春的な存在でしょうか。言われてみると、まるで生気のない登場人物たちの佇まいは確かにカウリスマキっぽい感じがするし、静物の捉えかたにブレッソンを感じたのもそれが理由かもしれません。

回収されない伏線。あらぬ方向への飛躍。

ストーリー的には 水、あるいは犬が話を引っ張るところが好き。ディレンセンが犬に導かれて出逢う老女のシーンには、笠辺哲さんのマンガ「ラタキアの魔女」を思い出した。

映画の冒頭から仄めかされる伏線めいたエピソードが回収されなかったり、ラストでとんでもない飛躍が起こったりするので好き嫌いがはっきり分かれそうな作品だが、ぼくは割と好きです。このまま科学技術が順調に進歩すれば、映画や小説、演劇などの脚本はすべてすぐれた人工知能が書くようになると思っているのだけど、たとえそうなったとしても人間に作ることが許されるストーリーとは、この映画のように非理性的な、原因と結果どころかその過程すらも対応していない(にもかかわらず魅力的な)ものなのではないか、なんて思うので。

ところで原題は「Jauja(ハウハ)」という。南米のスペイン統治時代に首都的に機能していたペルーの土地の名前で、豊饒と幸福の地、という意味らしい。こういう いわゆる"理想郷"を表すボキャブラリーをまたひとつ増やすことができてうれしい。

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