フェデリコ・フェリーニ「青春群像」レビュー

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「 青春群像 」をみました。無法者たちによる抜け出す気がないモラトリアム映画。不良歌手のリッカルドがフェリーニに激似!と思ったら実弟らしいですね。

それともかくこの映画、彼がこれから撮るべき作品の数々を切り刻んで端々に散りばめたような映画だったのでとても興奮した。マリアやキリストの像を売ったり盗んだりすることで悪魔に心を売ったリアルファウストを表現する女好きのファウストはカサノヴァを彷彿させるし、もちろんサーカスも出てくるし、昼夜室内外問わず影が長いデ・キリコ・マナーな映像美も、モラルドが心を通わす少年の名前がグイドというのもそんな感じ。好きだったのはもちろん謝肉祭の一連のシーン。

青春群像、という邦題は、抜け出す気がないモラトリアムを過ごす青年たちのエピソードが連なっていることを受けて付けられているのだとは思うが、実のところは先に書いたような、画面に現れるフェリーニの撮った映画を想わせるアイコンたちをすなわち青春と捉えて( フェリーニ自身、彼の幼少期の記憶に固執し映画で表現していると語っているし )、それらが群像的に現れることから付けられた、と考えるとあまり好感を持てなかったタイトルも簡単に愛せるから不思議なものですね。

とまあ、そんな独善的な話とは別にしても、結構重めな話題、少なくとも当事者にとっては人生で決して忘れることができない事件や時期を描いているのに、全体を通してどこか戯けているというか、軽率なユーモアとともに描いてる感じがすごくよかった。やっぱり私は好きだなフェリーニ。

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