「アデュー・フィリピーヌ」('62・ジャック・ロジエ)レビュー 最初から最後までずっとロックンロール

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ジャック・ロジエ監督による名作「 アデュー・フィリピーヌ 」を観ました。

テレビ局で働く青年・ミシェルと二人の美女、ジュリエットとリリアンヌの交遊を描いたこの作品は、ヌーヴェル・ヴァーグ以外のなにものでもない映画でした。ストーリーも撮り方もキャストも、全部ふざけてて頽廃的でスタイリッシュ。なぜかジュリエットとリリアンヌのふたりに、みつばちのささやきのアナとイサベルを重ね合わせて観てしまったのだけど、双生児的なキャラ造形をしている二人が一人の男性をきっかけに仲違いしていく感じとかを見ていると、あながち間違ってもいないのではないか。

それはそれとして、展開的にはとにかく最初から最後までずっとロックンロール、若気のいたり、モラトリアム、もとい大学生という感じ。この映画を見て考えたのは、90年代のトレンディ・ドラマはヌーヴェル・ヴァーグを下敷きにしていたんだな、ということだったりする。複数の男女が同時代性の強い舞台のなかで恋をしたりお互いの関係を確認したりするところとか特に。ていうか、最近のシリアルドラマは大体そうですね。小西康陽さんの単行本のなかにこれをベストムービーに挙げたコラムがあって、それはすっかり「 これは恋ではない。 」に載ってたと思ってたんですけど、実際は「 僕は散歩と雑学が好きだった。 」のほうで、何でこんな勘違いが起きたのかわからないままでいます。

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