「屋上野球」Vol.2レビュー。野球を語り、世界を語る雑誌。

投稿日:20/08/2014 更新日:

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屋上野球Vol.2表紙。イラストは吉澤成友さん。

編集室屋上より発行されている雑誌「屋上野球Vol.2」を読みました。

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屋上野球について。

この雑誌を発行しているのは、編集室屋上という出版社。公式HPによると、現在西神田に拠点を構えていて、屋上野球の編集長でもあり、主宰の林さやかさんがひとりで運営しているようです。この雑誌のほかには、ジブリ映画「かぐや姫の物語」の主題歌でおなじみな歌手の二階堂和美さんの著書や、山梨のワイナリー金井醸造所の本などを出版しているみたいです。

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タイトルのフォントからもわかるとおり、上に挙げた二冊の本のブックデザインを手がけているのは平野甲賀さん。もうそれだけで素敵な出版社であることに疑いようがないですね、とは言い過ぎでしょうか。

ともあれ、主宰の林さやかさんは、出版業のほかにも野球ブックフェア という野球の本にまつわるイベントを開催するなどで活動しているようです。

そしてやっと雑誌「屋上野球」の話ですが、昨年の10月に創刊されたばかりで、今のところVol.2まで発刊されています。一応不定期刊、ということになるのでしょうか。

どういう雑誌かというと、タイトルでもわかるとおりもちろん野球についての話。だけど普通の野球雑誌やスポーツニュースとは違って、例えば現在活躍中の選手のインタビューだとか、ペナントレースの結果、順位表などは一切載っていない異色の内容となっています。

では「屋上野球」にはなにが載っているのか、それを端的に説明する文章が公式HPに載っていたので以下に引用します。

球場で行われている”野球”よりも、
”野球”にまつわる何か、
”野球”について読むこと、語ること、のほうが好きになってしまった――
そんな倒錯的な現象を肯定する文化系野球雑誌です。
日本人なら誰でもその風景が浮かび、
ある程度のルールがわかる”野球”だからこそ、
人々の頭のなかにある十人十色の”野球”を、様々な切り口で紹介します。

引用元:屋上 | 刊行情報

もうこれ以上ない説明になっていますが、少しだけ補足するなら野球を"語る"ことが大好きな人たちの文章がたくさん載っている雑誌、ということになると思います。スポーツとしての野球を、野球好きの人々はどのようにみているか。あるいは、世の中にある野球以外のいろいろなことを、野球を通してみてみるとどうなるのか。そういったことを編んでいる、言ってしまえば非常にマニアックな雑誌になっています。

例えば創刊号では、野球を通してみる題材として小説が選ばれていて「野球を失った野球小説」という無理問答みたいなタイトルをつけて特集しつつ、野球のいろいろな見方を提示していました。特集のほかには9+1、と題されたコラム連載や、野球本にゆかりのある人々に対するインタビュー、ヨシノビズムさんによる野球音楽についての記事、野球小説の連載なども掲載されています。そして野球嫌いな人がみる野球についてのリレーコラム「野球がわからない」なんてものもあって、とにかくスポーツではない野球に関するいろいろなことをやってみよう、というような気概が感じられますね。

感想。

佐々木あららさんによる野球短歌もすごくいい。写真は創刊号から。

そんな野球のあり方に対して新たな視点を提供する雑誌「屋上野球」ですが、今回紹介するVol.2では「野球とおしゃれのカンケイ」、そして「野球と原発」という二つの特集が組まれています。

メイン特集である「野球とおしゃれのカンケイ」では、坊主頭や野球バッグ、プロ選手の服装などのキーワードから野球とおしゃれの関わりに迫っていくコーナーや、野球をテーマに服をデザインするブランド「Jackman」のチーフマネージャーに対するインタビュー、12球団のファンクラブグッズのデザインについて考えるページなど、とにかくおしゃれと絡めることができるすべての野球に関係のあるものの記事がたくさん載っています。それらはどれも真面目にふざけているような感じを受ける記事で、馬鹿らしくもためになるものばかりでした。もちろん、インタビュー記事はとても真面目ですが。

女子大生的ユーモアにあふれる7daysコーデの特集。

おしゃれ特集で一番好きだったのは美大生アートユニット代打○○○(スリーボール)が手がけた「野球ファッション7daysコーデ」。いわゆる女性ファッション誌にある同様な記事のパロディなんですけれど、それを2色刷り、しかもイラストでやってしまうという暴挙。しかもキャプションがすごく笑えて最高でした。

特集表紙。素晴らしい記事でした。

そして二つ目の特集「野球と原発」では、前特集とは打って変わって随分と真面目なトーンの記事が並びます。ふざけられるテーマでもないですけれど。とにかく、震災後に結構な話題となった電力問題と絡めながら経済アナリストに話を聞くコーナーや、日本プロ野球の父という異名で知られる正力松太郎氏が日本における原発の父とも呼ばれていることを受けて、それぞれの分野で彼が残してきた足跡を年表にして比較する記事など、こちらも非常に読み応えがある特集になっていました。何より、この特集のなかで雑誌として原発の良し悪しを主張していないところがすばらしいなと思います。

最後に。

というわけでざっと内容を紹介してみました。僕は先に第二号を読んでかなりエキサイティングな体験をさせてもらったので、追って創刊号を読んだのですが、創刊号は全体を通して「これは野球を語る雑誌です」ということを示しているように感じたので、どちらかというと硬軟の話題をおりまぜバラエティ感に富んでいるVol.2のほうが好きかなあ、という感じです。
しかし寄稿者のメンツとか、カラーページの少なさとかがそう思わせるのかもしれませんが、こういう同人誌の雰囲気を醸し出すこういう雑誌がISBNコード付きで流通しているのはすごいですね。出版不況、なんて言われてますが意外と可能性はいたるところに転がっているのかも、なんてミスチルみたいなことを思ってしまうすばらしい雑誌でした。ホームページによると編集者さんが長期休業に入るということで次号の発売はまだ未定らしいですが、ぜひ続刊を期待したいです。次はどのような角度から野球を通して世界の事象を紹介してくれるのか、今から楽しみでなりません。

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